第2回フレッシュホップフェスト2017

日本のホップ生産者とビールのつくり手、
そして飲む人を繋いでいきたい!

フレッシュホップフェストは、今年収穫した国産ホップでつくったビールを楽しむお祭りです。
2017年は、全国のクラフトブルワリー31社が参加。全国各地のビアパブで順次開催します。

2017.8.25ホップとは?

【ホップ講座】04_α酸と精油

今回は、ホップの成分についてのお話。

前回までは、農業生産物としてのホップについて書いていましたが、ビールの原料としてのホップについて書いていきたいと思います。

ホップがビールの味に大きく関わっている部分は、主に苦味と香りです。ビールの醸造工程でホップを投入することで、麦汁に苦味と香りが加えられることになります。

では、具体的にホップのどんな成分が苦味と香りになるのでしょうか。

ビールの苦味成分となるα酸

まずは苦味についてです。結論から書いてしまうと、ホップのα酸という化合物がビールの苦味の素となります。

ビールの苦味となるのはα酸だけではないのですが、最も重要なのはα酸。主なα酸としては、フムロンやコフムロンなどがあります。これらを加熱することで、イソα酸と変化し、苦味が感じられるようになるのです。

なお、この加熱する工程が麦汁の煮沸。煮沸の序盤でホップを投入し、長時間熱を加えることで、苦味成分がビールに加わることになります。

一方で、煮沸の後半でホップを投入すると、イソα酸への変化は少なくなります。

香り成分の精油

煮沸の後半で投入するホップは、苦味付けの役割ではなく香り付けです。その香り成分がホップに含まれる精油と呼ばれるもの。精油に含まれるミルセンやフムレンなどの化合物が、ビールの香りを作り出しているのです。

精油は熱に弱いため、煮沸の序盤で投入すると香りが飛んでしまいます。そのため、香り付けに使う場合は、煮沸の後半で投入されたり、ドライホッピングといった発酵・熟成工程で投入されます。

ビール醸造でのホップの使い方については、昨年のフレッシュホップフェストの記事でも書きましたので、合わせてご覧ください。

【ホップ概論 第3回】ビール醸造でのホップの使い方

よなよなエールのリニューアル

さて、この記事を書いている時に、よなよなエールがリニューアルするという情報が入ってきました。よなよなエールは今年が20周年で、今回が初めてのリニューアルとなります。

プレスリリースによると、「鮮やかなホップ香と、長く続く香りの余韻」ということで、香りに重点を置いたリニューアルのようですね。

「よなよなエール」のアイデンティティともいえる柑橘類を思わせる香りを最大限引き出すため、アロマホップ「カスケード」を増量しました。さらにこれまで使用していたホップの品種を見直し、「カスケード」をより引き立てるためのホップブレンドに変更しました。

よなよなエール

よなよなエール

どのようなホップ香になっているのか気になるところ。スーパーやコンビニでは10月中旬から順次切り替えということですので、楽しみに待ちましょう。

ビアライター

富江弘幸

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国に留学し、四川大学海外教育学院修了。帰国後は新聞社で書籍等の編集者に。現在はビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。
著書:BEER CALENDAR』(ワイン王国)
連載:あなたのしらない、おいしいビール』(cakes)
執筆:『ビール王国』(ワイン王国)、『厳選世界のビール手帖』(世界文化社)、『日本のクラフトビール図鑑』『ビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のクラフトビールが飲める120店』(エンターブレイン)など

Twitter:hiroyukitomie