北海道爾志郡、乙部町(おとべちょう)
函館から車で北西に約1時間半。
北海道南西部、日本海に面した渡島半島西部に位置するのが乙部町です。
町名はアイヌ語の「オトウンペ」(河口に沼のある川)に由来し、海と山に囲まれたありのままの自然が見どころの乙部町。
この人口3,600人ほどの町に、2018年6月、マイクロブルワリーが誕生しました。
今回は「北海道乙部追分ブリューイング」についてご紹介します。
乙部の「生命の水」を仕込みに
日本海に面した町らしく、乙部町ではイカやサクラマス、スケトウダラに代表する漁業や、じゃがいも、大豆、アスパラ栽培などの農業がさかんです。
そしてもうひとつ、乙部町で知られているのが「水」
自然湧水に恵まれた乙部町の町内には、複数の湧水があります。
その中でも特に優れた水質の5か所を「生命の水」と称して、災害時の給水施設として町が整備しています。乙部町では、1993年に起きた北海道南西沖地震を教訓に、水道とは独立した水源を確保するために町内すべての湧水地の水質検査を行い、給水設備を施しました。
乙部は町のあちこちで天然水が汲める「水の町」なのです。
この5つの「生命の水」の中でも地域住民の間でおいしいと評判なのが、乙部町姫川水系の「ひめかわの水」。乙部追分ブリューイングでは、この姫川水系の良質なミネラルウォーター100%でビールを仕込んでいます。
「軟水・中性の仕込み水はまろやかで口当たりがとてもいいため、地域ではコーヒーを淹れたり、焼酎を割ったり、さまざまな使い方をしています。もちろん、ビールの仕込みにも適した水です。成分特徴としては、強くて丈夫な骨をつくる『シリカ(ケイ素)』を一般的なミネラルウォーターより多く含んでいます」
乙部追分ブリューイング醸造長、竹田開氏によると、1バッチ500Lの醸造設備で月に2000L程度の仕込みを行っているそうです。約100坪の木工所倉庫をリノベーションした建物内には、レストラン『Guild Endeavour(ギルド エンデバー)』を併設。レストランでは石窯で焼き上げるピザや、道南食材を使った創作料理と自家製ビールが一緒に楽しめます。
飲み手と造り手がつながるFHFに興味を惹かれた
「弊社ブルワリーでは仕込みの一部に国産(町内産)麦芽を使用しているため、国産ホップにも非常に興味がありました。また、ブリュワーと消費者が直接つながるイベントという点でも非常に魅力を感じています」
フレッシュホップフェストへのエントリー理由について、そう語る竹田氏。
将来的には麦もホップも地元乙部産100%のビールを目指しています。FHFではIBUKIを使ったアメリカンペールエールを醸造予定とのこと。
「ブリュワーの一人ひとりが“感動をあたえる一杯”を目指し、日々醸造研究を重ねています」
自然が育む天然水を使ったブルワリー初のフレッシュホップビールは、10月末のリリース予定です。乙部のビールをきっかけに、多くの人が乙部を知り、乙部に触れ、乙部の新名所になるように、北海道乙部追分ブリューイングの1杯には、地域活性化を願う「呼び水」としての期待も込められています。
DATA
北海道乙部追分ブリューイング
所在地:北海道爾志郡乙部町字館浦686-2
醸造開始日:2018年6月
公式FB:https://www.facebook.com/Guild.Endeavour/
ブルワリーHP:http://www.otobe-oiwake-brewing.jp