今年収穫した日本産ホップでつくったビールを楽しむお祭り

202091(火)1130(月) また来年乾杯しましょう!

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FRESH HOP FEST.2019が終演。改めて振り返ってみる

木暮 亮

2019年9月1日(日)から11月30日(土)までの3ヶ月の日程で開催された「FRESH HOP FEST.2019(以下、FHF2019)」。例年通り、東京でのイベントやホップ農家や醸造家を対象とした勉強会がおこなわれた以外にも、昨年よりも期間を1ヶ月延長したり、はじめて大阪でもイベントを開催したりと新たな試みがありました。

筆者の感想を日本ビアジャーナリスト協会の方にも投稿したが、日本産ホップ推進委員会より「こちらでも投稿してほしい」と声をかけていただいたので振り返ってみたいと思います。

収穫も課題も。FRESH HOP FEST.について考えてみる

収穫面と課題面をまとめてみる

2015年からはじまった「FHF」も、今年で5回目。今回は、これまでよりも「Grow(ホップ生産者)」「Brewer(醸造家)」「Server & Drink(飲料店と飲み手)」と原料から消費までの一連の流れが意識されました印象をもちました。そんな「FHF.2019」の収穫面と課題面をまとめてみました。

収穫面 課題点
  ・参加するホップ農家の増加

・参加するブルワリーが大幅増加

・様々なビアスタイルのフレッシュホップビールの誕生

・東京以外で初めて大規模なイベントが開催

  ・ホップの品質

・フレッシュホップを使った醸造の経験不足

・イベントの周知不足

・FHF自体の認知不足

収穫面での1番の成果は、ホップ農家とブルワリーの参加数。ホップ農家は昨年の22から31へ。ブルワリーは昨年の55から90と増加しました。これは近年のクラフトビール人気の要因の1つとなっているホップへの関心の高さが理由と考えています。

「FHF」は、イベントと捉えている方が多いですが、本来の目的は「日本産ホップの普及」にあります。ホップ農家は、年を追うごとに減少していて、このままの状況が続くと日本国内のホップ産業の歩みが途絶えてしまう危険性があるのです(※1)。ホップ栽培に関心をもった方が増え、少しずつその輪が広がりをみせていることは、「FHF」の継続成果であると思います。

※1 日本産ホップの現状についてはこちらから

さらに、今回はホップ農家の思いを汲んでフレッシュホップビールをつくられた醸造所がこれまでよりもたくさんあったことも良かったと思います。やみくもにフレッシュホップを使ってビールを醸造するのではなく、「日本のホップ栽培の現状」や「ビールは、農業からはじまっている」ことを意識してつくるのでは、そのあとの飲料店や飲み手への伝わり方が変わってきます。ストーリー性のあるフレッシュホップビールが生まれたことは、来年に活きてくるはずです。

そして、参加ブルワリーが増えたことは、多様なビアスタイルのフレッシュホップビールを生み出しました。昨年までは、ホップの特徴が明確に伝わりやすいペールエールやIPAが大半を占めていました。しかし、今年は各醸造家たちの創造性が溢れる内容で、ピルスナーやセゾンといったクラシカルなスタイルから「Far Yeast Brewing」のように昨年の「Fresh Hop Saison」の原酒を白ワイン樽にて1年熟成させ、ドライホップとしてカスケードのフレッシュホップを使用して醸造した「Fresh Hop Wild Saison」まで個性豊かなラインナップが揃い、改めてビールの奥深さを感じる良い機会となりました。

いろいろなビアスタイルのフレッシュホップビールが登場した「FHF2019」。

反対に課題点としては、栽培も醸造もフレッシュホップに対する知識と技術の向上を挙げました。FHFに参加しているホップ農家は、まだ歴史が浅いところが多く、これまでは収穫量を増やすことに重点が置かれてきましたが、これからは高品質のホップを栽培できるかがテーマになってきます。いくら収穫量が増えてもホップに含まれる様々な成分が悪ければ、品質の良いフレッシュホップビールは生まれません。成分分析の実施を行い、品質改善に取り組む必要があります。

醸造においてもフレッシュホップを「どう使ったら特徴を活かせるか?」という課題が出てきました。いろいろなフレッシュホップビールを飲んでみて「フレッシュホップらしさって何だろう?」とも考えました。フレッシュホップを使ったビール造りは、一定の時期にしか行うことができません。そのため、醸造経験を積むことが難しいジャンルです。今年はじめて仕込みを行ったブルワリーも多く、試行錯誤して造った話も聞きます。これには知識の向上と実践から経験値を積み重ねるしかありません。

ホップを蔓から摘んだり、揉み解したりフレッシュホップを使ったビール醸造は手間がかかります。来年以降、どのくらいのブルワリーが参加をするか不明です。しかし、スキルアップや日本のクラフトビールの魅力を高めるため、継続して参加してほしいと願っています。

1つ1つ手作業でホップを揉み解す作業が必要になるなど、フレッシュホップビールの仕込みには手間がかかる。

もう1つ取り上げておきたいのがイベントです。今年ははじめて東京以外の都市で本格的にイベントを開催。日本産ホップの普及を掲げるならば、日本全国でフレッシュホップビールを楽しみ、祝える環境ができないといけません。その第1歩として、大阪で開催できたことは大きな収穫だと思います。その反面、世間への告知・周知不足や会場でのホップの啓もう活動など内容に課題もありました。

大阪で初めて開催された「OSAKA de FRESH HOP FEST」。告知期間の短さもあり、周知不足から来場者は少なかった。認知度を上げるためには、時間をかけてこまめなアピールを繰り返し行う必要がある。

日本産ホップが根付く道に近道はなし。地道な普及活動を

FHFがスタートして5年。ホップ農家やブルワリーの参加数や造り手が生産者の思いを汲んでビールを醸造する流れも生まれ、着実に成果は表れてきています。結果が出れば、新たな課題が生まれ、それをクリアする目標も見えてくると思います。

日本産ホップ推進委員会では、年に1~2回ホップ農家や醸造家を対象とした勉強会を開催しています(今年は、生産者を対象にしたホップサミットを3月に。醸造家向けに6月と7月にホップセミナーを開催)。日本産ホップを根付かせるには、課題に対した取り組みを地道に行うしかありません。

6月に開催されたホップセミナー東日本の様子。

今年の収穫面や課題点を踏まえて、来年はさらにブラッシュアップされたFHFが開催されることを期待しています。

最後に、今年も春から秋まで駆け抜けた実行委員のみなさま。お疲れさまでした。

※2019年12月9日22:00 参加ブルワリー数が115ではなく90の誤りがあり、文章を修正いたしました。申し訳ございませんでした。

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは1500種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

日本ビアジャーナリスト協会ホームページにて、「ブルワリーレポート」、「うちの逸品いかがですか?」、「Beerに惹かれたものたち」、「ビール誕生秘話」、「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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