今年収穫した日本産ホップでつくったビールを楽しむお祭り

202091(火)1130(月) また来年乾杯しましょう!

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東松島の大麦と石巻のフレッシュホップを使用!地産地消の穀町ビール

ライター 山口紗佳

穀町ビールは、2017年に仙台市初のブルワリーとして、宮城県仙台市若林区に誕生しました。「穀」物の「町」と書いて「こくちょう」は、仙台に古くからある地名。約400年前に伊達政宗公が築いた杜の都・仙台は、今でも城下町の面影をあちこちに残しています。かつて商人の町として、穀物問屋が立ち並んだ「穀町」という地名もそのひとつ。「畳屋丁」「弓ノ町」「南鍛冶町」など、江戸時代に職人が集まって暮らしていたことを地名からも読みとることができます。

穀町は近くにある清水小路という地名が示す通り、豊かな湧き水が出る場所で、日本酒造りにもゆかりのある地域。そんな歴史を宿した地域に構えるのが穀町ビールです。

ヨーロッパで多彩なベルギービールに魅了された

ジャパン・グレートビア・アワーズ2020(Japan Great Beer Awards 2020)で金賞を受賞した「穀町エール⑫」

2020年のフレッシュホップビールは、同じ宮城県内の石巻市にある一般社団法人イシノマキ・ファームが育てたカスケードを使って仕込んだ穀町ビール。代表でありブルワーの今野高広さんに、自社商品とフレッシュホップビールについて話を聞きました。

――定番商品と特徴について教えてください。

 今野高広(以下、今野):「穀町エール⑫」は、アルコール度数12%のベルジャン・クワドルペルです。はちみつの特性を生かして、ベルジャン酵母によりスパイシーさと特有の甘みを再現しました。マスカット香とほのかな酸味があるので、ハイアルコールながらもスッキリ飲みやすいビールに仕上げています。

「穀町エール⑩」は、イギリス産の麦芽、ホップ、エール酵母を使って、ウィスキー香といちじくのような果実香、ボディを感じさせるイングリッシュ・バーレイ・ワインです。アルコール度数10%なので、ワイングラスでゆっくりとお楽しみください。冬はお湯割り、夏はソーダ割りでも楽しめますよ。

 ――定番商品がハイアルコールの2本柱というのは珍しいと思います。

 今野:「ヨーロッパ(特にベルギー)のビアスタイルでビールの幅広さを知ってもらう」そして「地元のものを利用した地産地消の地ビール」。穀町ビールのコンセプトとして、この2つを掲げています。

中世ヨーロッパの村々には、必ずと言っていいほどパブがあり、その村でしか飲めないビールがありました。仕事でヨーロッパ諸国の地方を訪れるたびにその歴史を体感した私が、地元仙台に根差したビールを造りたいと思って始めたのがこの穀町ビールです。

さまざまなビールがある中でも、アルコール度数が高くてうま味とコクがあり、華やかでスパイシーなタイプのベルジャンスタイルに魅了されたことから、日本国内では珍しいハイアルコールで個性的なビールをメインに醸造しています。

季節限定商品「穀町ミード⑭」はアルコール度数14%のスパークリングミード

被災地で育った大麦とホップ。生命力を宿す「東松島『の・ビール』」

ルプリンの粒がたっぷり詰まったイシノマキ・ファームのカスケード

――フレッシュホップを使うのは今回が初めてだったそうですね。

 今野:地元のフレッシュホップを使いたいと考えたときに、他社のブルワーにフレッシュホップフェストを紹介してもらって参加を決めました。初めてフレッシュホップを取り扱うので、経験のあるブルワーにお話を伺って準備をしました。

フレッシュホップは、同じ宮城県ということで、石巻市のイシノマキ・ファーム様から摘みたてのカスケードを提供してもらうことに。仕込み前日の2020年8月27日に収穫して、仕込みでもイシノマキ・ファーム様の指導のもと仕込みました。

――フレッシュホップビールには、東松島産の大麦も使われているとか。

 今野はい、今回仕込んだフレッシュホップビールは、宮城県東松島産の大麦「希望の大麦」の麦芽を100%使用したイングリッシュペールエール、「東松島『の・ビール』(石巻産フレッシュホップ使用)」です。

希望の大麦は、東日本大震災で被災した宮城県東松島市沿岸部の津波被災地で大麦を育てることで、土地の有効活用を目指すプロジェクトが実を結んだものです。大麦もフレッシュホップも被災地で栽培されたものを使い、オーソドックスな造りをすることで、この土地で生まれたものをダイレクトに感じてもらいたいと思っています。

「今年のホップの出来は大変良い状態と聞いています」と今野さん

――「東松島『の・ビール』(石巻産フレッシュホップ使用)」を飲む方法を教えてください。

 今野:樽生については、東松島市にあるJR矢本駅前のビアバー「CRAFT BEER BAR Terminal」で2020年10月頃から提供開始予定です。ボトルも同じ頃に宮城県仙台市若林区荒町の「及川酒店」や若林区土樋の「宮内屋酒店」など、市内の酒屋で販売する予定です。この2店は地方発送にも対応しているため、ご希望の方は下記協力店に直接お問い合わせください。

発送可能店舗

 

「東松島『の・ビール』(石巻産フレッシュホップ使用)」は、華やかさこそありませんが、クラシックで飲み飽きないビールに仕上がっています。宮城県の地のものを取り入れたフレッシュホップビールをじっくり味わってみてください。

※穀町ビールで使ったホップを生産するイシノマキ・ファームの取り組みはこちら

イシノマキ・ファームは農福連携で4年目のホップ栽培

※写真提供:穀町ビール

DATA

穀町ビール
住所:宮城県仙台市若林区石名坂34
電話:022-223-5860
ウェブサイト
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ライター

1982年愛知県出身、大分県在住。中央大学法学部卒業。
名古屋で結婚情報誌制作に携わった後、東京の編集プロダクションで企業広報、教育文化、グルメ、健康美容、アニメなど多媒体の編集制作を経て静岡で10年間フリーライターとして活動。現在は大分から九州のビール事情をお伝えします。

【制作実績】
フリーペーパー『静岡クラフトビアマップ県Ver.』、書籍『世界が憧れる日本酒78』(CCCメディアハウス)、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、グルメ情報サイト『メシ通』(リクルート)
【メディア出演】
静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」
静岡FMラジオ局k-mix「おひるま協同組合」
UTYテレビ山梨「UTYスペシャル ビールは山梨から始まった!?」
静岡新聞「県内地ビール 地図で配信」「こちら女性編集室(こち女)」

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