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手塩にかけて11年。収穫祭でホップを身近にしてくれた「オラホビール」

「OH!LA!HO BEER(オラホビール)」は、長野県の東部に位置する東御市にあるブルワリーです。株式会社信州東御市振興公社のいち事業として、ビール醸造を1996年に開始しました。この土地の方言で「わたしたち」「わたしたちの地域」を意味する言葉「おらほ(OH!LA!HO)」を冠とし、「“グラスの中の幸せ”を提供したい」をコンセプトにビールを造り続けています。

「オラホビールホップ園」でホップ栽培を始めたのは2010年から。東御市はもともと大手ビールのホップ畑があったところで、気候がホップ栽培に適した地域でした。今でこそホップを栽培するブルワリーは増えましたが、オラホビールはその先駆けとなる存在です。毎年ホップ収穫の時期に開催される収穫祭には、約170名ものビールファンが大集合。オラホビールは、圃場見学やフレッシュホップビールを通して、長きにわたりホップを身近に感じてもらえる機会をつくってくれているブルワリーでもあるのです。

今年春から稼働した新工場でフラッグシップをリニューアル

定番ラインアップは「ゴールデンエール」「アンバーエール」「ケルシュ」「ペールエール」「キャプテンクロウ エクストラペールエール」「雷電カンヌキIPA」の6種類。それに加え、四季折々におすすめのスタイルを仕込む「ビエール・ド・雷電」を提供しています。

今年は新工場の稼働が始まり、新たな充填機も導入しました。それに伴い、創業当時からフラッグシップとして位置づけてきた「ゴールデンエール」「アンバーエール」をリニューアル、新商品として4月28日から販売を開始しました。

リニューアルして新発売したゴールデンエール(左)とアンバーエール(右)

初代醸造長が手塩にかける11年目のホップ

オラホビールのホップ栽培は11年目に突入しました。フレッシュホップフェストへの参加は、2016年から5回目。圃場で収穫したホップを使ったフレッシュホップビールは、「ビエール・ド・雷電 季節仕込みビール 秋仕込みIPA」としてお披露目されてきました。

圃場の広さは10a(1000㎡)で、175株(カスケード60株、チヌーク40株、ガレーナ15株、ゴールデンスター60株)を栽培しています。オラホビールが他の圃場と多少異なるのは、醸造家がホップ栽培を始めた点です。現在、ケルシュ、ゴールデンエール、アンバーエールなど、オラホビールのフラッグシップビールを生み出した初代醸造長の小林亮二さん、マーケティング・ブランドディレクターを担当する戸塚正城さんを中心に、ホップ栽培が進められています。「自分の手でホップを育てることで、ブルワーとして一層ビールへの愛着がわきます。それが商品開発の責任感にもつながりました」と、小林さんは言います。

今年のオラホビールホップ園は、3月11〜20日にかけて株ごしらえをしました。「3月は気温が低めだったので発芽は遅めでしたが、4月に入ってからの生育スピードは上がったのではないかな」と、小林さん。4月24日には「べと病」をはじめとするホップの病気を防ぐため、株に薬剤を散布しました。

5月に入り、ホップは順調に生育中。今年の収穫祭でもビールファンに見事な毬花を披露してもらいたいところですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響により、従来のような収穫体験や宴会は難しいかもしれません。しかしながら、戸塚さんは「ホップの収穫を祝うイベントを何か別の形でできないか、いま考えているところです」と前向きです。

ホップのさらなる成長ぶりも、新工場で造られる “ビエール・ド・雷電 フレッシュホップ2020年版”も、今から大いに期待が膨らみますね。

圃場全体の様子。2020年4月24日撮影

除草作業をする小林さん。4月24日撮影

芽が伸び葉を携え始めたカスケード。2020年4月24日撮影


*本記事の掲載写真はオラホビール提供

DATA

ブルワリー名:オラホビール
住所:長野県東御市和3875
Website:公式ホームページFacebook
栽培面積:10a(1000㎡)
栽培品種:カスケード/チヌーク/ガレーナ/ゴールデンスター
ホップ購入方法:外販なし