「ワインバレルで1年間熟成したセゾンスタイルのビールにフレッシュホップでドライホッピングしたものを提供予定です」
この文章を見たときの驚きと期待感。Far Yeast Brewingの代表取締役である山田司朗さんからのメールには、このように書いてありました。
Far Yeast Brewingは2011年に設立したブルワリー。といっても、その当時は自社で醸造設備を持っておらず、他社の設備でビールを醸造するファントムブルワリーとしての設立でした。ベルギーで契約醸造している「KAGUA」はよく知られていると思います。
そして、2017年には多摩川の源流域である山梨県小菅村で自社醸造所を開設。「Far Yeast東京ホワイト」などの定番ビールだけでなく、山梨県産の桃を使ったフルーツビールや、海外ブルワリーとのコラボレーションなど、さまざまなビールを醸造しています。
このように、定番ビールをしっかり醸造しつつも、新しいことに積極的にチャレンジしていくイメージのあったFar Yeast Brewingですが、それでも冒頭のメールには驚きました。
昨年のフレッシュホップビールを今年のフレッシュホップでドライホッピング
Far Yeast Brewingがフレッシュホップフェストに参加した理由は、ビールの楽しみを広げていきたいという思いから。
アメリカではフレッシュホップの時期になると、フレッシュホップビールがビアパブで提供されるようになり、旬の味として楽しめるようになっています。日本でもフレッシュホップが定着すれば、ビールがもっと面白くなるのではないか。山田さんはそう考えています。
では、Far Yeast Brewingとしてどんなフレッシュホップビールを造るのでしょうか。
初参加の昨年は「フレッシュホップセゾン」を提供したFar Yeast Brewing。実は、その原酒をワインバレルで1年間熟成していたとのこと。つまり、冒頭のメールにあったセゾンスタイルのビールとは、昨年の「フレッシュホップセゾン」を熟成したものなのです。
Far Yeast Brewingは昨年、アメリカのカルミネーション・ブルーイングとのコラボビール「Far Yeast Kriek in the flesh」を造ったのですが、このビールはケトルサワリング版とバレル熟成版を時期をずらしてリリースしたもの。そこから着想を得て、昨年の「フレッシュホップセゾン」を使うことになったそうです。
そのフレッシュホップビールは、Far Yeast「Fresh Hop Wild Saison(フレッシュホップ・ワイルドセゾン)」。
使用したホップは、ホップファーム小林さんのカスケード。グリーンなフレーバーを楽しめるとのことですが、熟成したセゾンとの組み合わせがどんな味わいをつくりだすのか非常に楽しみです。
リリースは9月中の予定ですが、提供できるのは30樽前後。Far Yeast Brewingのチャレンジングな試みを味わってみたいものです。
DATA
Far Yeast Brewing
住所:東京都渋谷区渋谷2-6-8(本社)、山梨県北都留郡小菅村4341(源流醸造所)
URL:https://faryeast.com