今年収穫した日本産ホップでつくったビールを楽しむお祭り

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今年の秋はフレッシュホップビールを飲みに遠野に行こう!

ビアジャーナリスト 西條はる

2019年8月24日(土)、25日(日)に岩手県遠野市の「蔵の道ひろば」において、「遠野ホップ収穫祭2019」が盛大に開催されました。

「遠野ホップ収穫祭」とは?

「遠野ホップ収穫祭」とは、遠野産のホップと畑の恵みの収穫を祝う、ビールと食の祭典。
遠野ホップ収穫祭実行委員会と、*TKプロジェクト(遠野キリンプロジェクト)実行委員会が中心となり運営しています。
岩手県遠野市は、国内でも有数のホップ生産地ですが、現在のホップ生産量はピーク時の約5分の1まで減少しています。そこで、農家や醸造家、地元企業、行政や市民とキリンビール株式会社が連携して、ビールを核とした産業でにぎわうまちに変貌させるために「ビールの里構想」を打ち立てました。この「ビールの里構想」を実現させるために重要な役割を果たしているのが同収穫祭です。
遠野産のホップを使用した収穫祭限定のオリジナルビールや、地元の食材を活用したおつまみの提供、ホップ畑見学バスツアー、アーティストによるスペシャルライブなど、ホップの魅力を体感しつつ、参加者を喜ばせるためのさまざまな仕掛けが施されています。

オリジナルビール、(上)ホップ入りソーセージ、(中)ホップシロップ入りかき氷、(下)遠野産パドロン

*TKプロジェクトとは、遠野市とキリンビールが2007年に開始した、遠野産ホップの価値化やPRを行い、農作物のブランド化や販路拡大をサポートし、まちを活性化させる活動のこと。現在は、遠野市、キリンホールディングス株式会社、キリンビール株式会社、遠野ホップ農業協同組合、一般社団法人遠野ふるさと公社、BEER EXPERIENCE株式会社、株式会社BrewGood、上閉伊酒造株式会社、株式会社遠野醸造、東日本旅客鉄道株式会社で構成されています。

来場者は過去最高に

5回目の開催となる本年は、過去最高の12,000人(昨年の1.6倍)が参加。開場前から来ている参加者が例年以上に多く、着実にファンが増えていることを実感しました。遠野では、「ビールの里構想」の基盤が整いつつあり、この2年間で「株式会社遠野醸造」、「BEER EXPERIENCE株式会社」、「株式会社BrewGood」と、ビールとホップにまつわる新しい会社が3社設立。さらにこの5年間で、ビールとホップの仕事がしたいと移住した人数が20人を超えたといいます。
今年の新たな取り組みとして、SNSを活用したクラウドファンディングで同収穫祭の参加者が快適に過ごせるようにと「メイン会場のテント拡張」を出資者に募ったところ、1か月で目標資金を達成。2.2倍の広さとなり、多くの来場者が暑さをしのぐことができました。同収穫祭実行委員長でクラウドファンディング発起人の田村淳一氏は、開会式において「今回のように、仲間ができるといろんなことができると実感。これからもさまざまな新しい取り組みに挑戦したい」と挨拶しました。

会場内の様子

生ホップをより身近に

イベント中は、もっと身近にホップを感じてもらえるように、会場内に直接生ホップに触れることができる「ホップ体験コーナー」が設けられていました。この展示用のホップを収穫したのは、地元の遠野緑峰高校の生徒たちとTKプロジェクトのメンバー。当日の早朝に集合し、バスでホップの圃場に移動して、*遠野産ホップ「IBUKI」を1つひとつ丁寧に手摘みし、会場に運びました。

ホップ摘みの説明を受けている遠野緑峰高校の皆さん

ホップ畑で記念撮影


これらのホップは、オープニングイベントとして同校の生徒と遠野ホップ生産組合の佐々木悦男組合長からキリンビールと市内クラフトブルワリー醸造家に手渡しする「ホップバトンパス式」で紹介されました。司会者からホップ摘みの感想を聞かれた同校の生徒は、「初めて参加し、朝からホップの収穫を見たのですが、自分たちより早く来ていた人たち(農家さん)は、慣れた手つきでどんどんホップを収穫してすごいなと思いました。またホップをそのまま食べてみたのですが、すごく苦くて、僕にはまだ分からない味かなと思いました」とコメントし、会場を湧かせてくれました。

ホップバトンパス式の様子


朝収穫したホップは、生ホップを目にする機会があまりない来場者が直接触れて、香りを嗅ぐことができるように「ホップ体験コーナー」に展示。参加者の皆さんは、興味津々の様子でした。

ホップ体験コーナー

*遠野産ホップ「IBUKI」とは
キリンビールが 1954 年頃に日本産ホップ「信州早生」を品種改良した「キリン 2 号」と、その変種である「かいこがね」の 2 種類を、同社が「IBUKI」というブランド名で展開しています。レモンやグレープフルーツを思わせる上品な柑橘系の香りが特徴で、遠野市を中心に生産しています。

今年のホップの出来は?

今年のホップの出来を佐々木組合長に伺ったところ、「全体的に見ると、小ぶりなホップが多かったです。理由は、今年の7月から8月10日頃までほとんど雨が降らなかったため。いわゆるホップの毬花が大きくなる肥大月に水分がないと生長しにくいです。56年間ホップ栽培していますが、こんなことは珍しいです。でもホップの成分としてはすごく良いと分析されています」ということでしたので、今年も間違いなく美味しいビールが出来上がりそうです。

待ち遠しい発売日は?

収穫したホップは急速冷結することで、遠野産ホップの上品で華やかなフローラルの瑞々しい香りが楽しめるそう。注目の遠野産生ホップを使用したビールは、キリンビールはじめ、上閉伊酒造、遠野醸造で醸造される予定。キリンビールでは、「KIRIN 一番搾り とれたてホップ生ビール」を、10月29日(火)に数量限定で全国発売予定です。また、これらの限定醸造ビールが飲める「Fresh Hop Fest Week .2019 in遠野」を10月に開催予定。詳細は、10月初旬に紹介されますので、一般社団法人遠野市観光協会のHPをご参照ください。

まだ一度も遠野を訪れたことがないという方は、ぜひ今秋に開催される「Fresh Hop Fest Week .2019 in遠野」に参加してみてはいかがでしょうか?

▪️遠野ホップ収穫祭2019(※今年度のイベントは終了)
開催:2019年8月24日(土)・25日(日)
場所:蔵の道ひろば
運営:遠野ホップ収穫祭実行委員会
HP:https://www.lets-hopping.com/

▪️株式会社BrewGood
住所:岩手県遠野市中央通り10-15(遠野醸造内)
HP:https://note.mu/tamjun

▪️上閉伊酒造株式会社
住所:岩手県遠野市青笹町糠前31-19-7
TEL:0198-62-2002
HP:http://kamihei-shuzo.jp/

▪️キリンビール株式会社
住所:東京都中野区中野4-10-2
TEL:03-6837-7002(代表)
HP:https://www.kirin.co.jp/products/beer/

▪️株式会社遠野醸造
住所:岩手県遠野市中央通り10-15
TEL:0198-66-3990
HP:https://tonobrewing.com

▪️BEER EXPERIENCE株式会社
住所:岩手県遠野市青笹町糠前31-19-7
TEL:代表 050-8880-1870、ビアツーリズム専用 050-8880-1872
HP:https://www.beerexperience.jp/

▪️一般社団法人遠野市観光協会
HP:https://tonojikan.jp

こちらの記事もご参照ください。https://japanhop.jp/hopsummit2019-spring/

ビアジャーナリスト

大阪府出身 千葉在住
ビールが大好きで、飲みに行っても永遠にビールを飲み続け、ついたあだ名が「Hop Saijo」
ビールと旅をこよなく愛し、ビールのためならどこへでも。昨年はチェコ共和国ピルゼン市とアメリカ合衆国デンバーにビールを飲みに行く。今年も美味しいビールを求めてどこまでも!