今年収穫した日本産ホップでつくったビールを楽しむお祭り

202091(火)1130(月) また来年乾杯しましょう!

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ホップの里からビールの里へ 遠野の高校生が紡ぐ、日本産ホップの未来!

ビアジャーナリスト HOP SAIJO

岩手県遠野市は、日本産ホップ生産面積日本一を誇り、ホップを最大限に活用したまちづくりが行われています。

■「岩手に乾杯プロジェクト2019」とは?

4月18日、遠野市にあるホップ農家の畑でキリンビールの「岩手に乾杯プロジェクト2019」が開始されました。「岩手に乾杯プロジェクト」とは、岩手の誇りや良さを感じてもっと地元を好きになり、元気になってもらおうという活動です。

遠野と言えば「ホップ」、ビールにとって要となるホップの栽培を多くの参加者に体験してもらうために、昨年も春から初秋の収穫まで様々なイベントが行われました。

今年2回目となる活動は、岩手県立遠野緑峰高等学校の生徒、キリンビール岩手支店、JR東日本盛岡支店の社員、遠野市役所の職員の皆さんがホップの春作業である「株ごしらえ」を体験しました。「株ごしらえ」とは、厳選した新芽の成長を促進させるためにホップの根株から不要な根や茎を除去する作業です。

ホップの根株から不要な根や茎を除去

■高校生が紡ぐ日本産ホップの未来!

地元の高校生を招いての活動は、次世代の担い手へバトンをつなぐ活動の一環。遠野市のみならず、地域のホップ農家が抱える課題として、高齢化と担い手不足が挙げられます。これらの作業体験は、ビールが農業からできているのだということを体感するとともに、遠野の財産でもあるホップを深く知るきっかけになります。

株ごしらえの真っ最中

この活動のほか、同校の生徒は農家から廃棄されるホップ蔓の繊維を活用したホップ和紙の開発を2009年から継続して行なっています。ホップは雌雄異株の蔓性植物で、7mから12mほどまで成長します。しかし、収穫の際はその毬花だけをもぎ取り、蔓の部分は焼却処分されるため、その蔓の活用も農家にとって課題でした。

当時、飯豊地区のホップ組合長から同校の草花研究班にある相談が持ちかけられました。それは、毎年200トンほど焼却処分されているホップの蔓の繊維を活用して和紙を漉き、名刺を作ってもらえないかというものでした。最初は、和紙には程遠い、コルクボードのようなものしか作れず諦めかけていたところ、その想いを受け継いだ後輩たちが研究を継続し、紆余曲折を乗り越えて遂にホップの皮にある繊維を見つけ出し、ホップ和紙を完成させたのでした。

次なる課題は、高コストと和紙をつくる際に使用される大量の化学薬品による環境負荷でした。白い和紙に仕上げるためには、漂白作業が必要になります。解決策として導き出されたのが、従来の乾燥したホップ蔓ではなく、収穫後の生蔓の活用。それにより純度の高い繊維を取り出すことに成功し、同時に生産性も向上させました。更に、宮城県の和紙職人からプロの「流し漉き」の技法を伝授してもらったことで、無漂白でエコなホップ和紙の開発につながりました。

現在では、期間限定の紙すき工房でコースターやはがきが作れる体験工房を開いたり、地元小学校の卒業証書を作成したり、ふるさと納税のプレミアム商品としてランプシェードを開発するなど、付加価値をつけた商品を製造しています。将来的には、6次産業化を興し農閑期の副収入となることを目標にしており、持続可能な日本産ホップ生産の一助となることを目指しています。

同校の生徒によるホップ栽培体験は今後も継続され、6月にホップに日光を当てる「つる下げ」作業や、8、9月の収穫体験も予定されています。

遠野産ホップの生産量は最盛期に比べて大きく減少していますが、これらの地道な取り組みが近い将来に実りをもたらす日がくることでしょう。

※写真は全てBEER EXPERIENCE株式会社様よりご提供いただきました

ビアジャーナリスト

ビールと551の蓬莱と吉本新喜劇好きの関西人
ホップにハマりすぎて、全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどに!
ついたあだ名が「Hop Saijo」
夢は、チェコでビール風呂に浸かりながら、蛇口から出てくるビールを好きなだけ飲んで、イグサのベッドで昼寝すること。

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