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ホップがビールに使われたのはいつから?ホップの歴史を紐解く

ホップがビールに使われたのはいつから?ホップの歴史を紐解く

ホップはビールの原料として欠かせないものですが、いつからホップがビールに使われるようになったのかは定かではありません。

ホップが使われるようになった時期は?

7、8世紀にはヨーロッパでホップ栽培の記録があるようです。といっても、ただ栽培していたというだけのようで、いつからビールに使用したかはわかりません。ホップはビールにしか使われないものだったので、その記録の頃から使っていたのではないかという説や、新バビロニア王国のネブカドネザル2世の頃にはホップを使ったビールがあったという説、11、12世紀頃ではないかという説もあります。

ホップの効能とは

では、ホップが使われるまでは何が使われていたのかというと、複数のハーブ類を調合したグルートと呼ばれるものでした。グルートは、アニスやハッカ、クローブ、ヨモギといったものを調合しており、ホップもそのひとつとして使われることもあったようです。そして、徐々にホップがメインとして使われるようになっていきますが、それはホップに次のような効果があることがわかったからです。

  • 雑菌の繁殖を防ぐ
  • 苦味をつける
  • 香りをつける
  • たんぱく質を沈殿させて濁りを抑える
  • 泡持ちをよくする

ホップが使われるようになってきた当時では、雑菌の繁殖を防ぐということが第一だったと思われます。それに加えて、味わいや見た目にもよい効能があったため、ホップはビールに欠かせないものとなっていきました。

例えばドイツでは、当時のバイエルン公国で1516年にヴィルヘルム4世が「ビール純粋令」を制定。ビールの原料のひとつとして、明確にホップが記載されるようになりました。その後、ドイツ全土に広まり、ビールには必ずホップが使われるようになったのです。

11〜12世紀にはビールにホップが使われていた

ただ、少なくとも11、12世紀頃にはホップがある程度使われていたというのは確かなようです。それを裏付ける記録が残っているので、今回はそれを紹介しましょう。

ホップの歴史について調べてみると、12世紀頃にドイツにあるルプレヒトベルグ女子修道院のヒルデガルディス院長という人が初めてホップをビール醸造に使った、という情報が多く出てきます。

どうやら、ホップをビール醸造に使ったということを記録していたのは、ルペルツベルク女子修道院のヒルデガルト・フォン・ビンゲンという人のようです。彼女は修道士であり、ビールも醸造していました。その彼女が書いた『Physica』という書物の「De Hoppho」(ホップについて)という項目に、

If you want to prepare beer from oats, without hops, cook it only with groats, ….

(ホップなしでオーツ麦からビールを造る場合は……)

という記載があります(原文は英語ではなくラテン語)。ここに「ホップなしで…」とわざわざ書いているということは、普段はホップを使っているとも解釈できます。

しかし、彼女が最初にホップを使ったという記載は見当たりません。ただ、少なくとも彼女はホップをビール醸造に使っていたことは確かです。彼女が生きていたのは1098年〜1179年。この頃にはある程度ホップが使われていたと考えていいのではないでしょうか。

次の記事「ホップの役割とは?ビールにもたらす効果を解説」では、ホップがビール醸造で果たす役割についてもう少し詳しく見てみましょう。

ビールライター

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。

【著書】
教養としてのビール(サイエンス・アイ新書、SBクリエイティブ)
BEER CALENDAR(ワイン王国)

【執筆・監修】
和樂web(小学館)
Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)
東京人(都市出版)
ビール王国(ワイン王国)
ビール大全(楽工社)
るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
あなたのしらない、おいしいビール(cakes)
他多数。

【出演】
金曜たまむすび(TBSラジオ)
ちきゅうラジオ(NHKラジオ第1)
すっぴん!(NHKラジオ第1)
浜美枝のいつかあなたと(文化放送)

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