ビタリングホップとアロマホップの違いは?代表的な銘柄を紹介
前回の記事「ビール醸造でホップはどう使う?醸造工程とともに紹介」では、ホップの使用目的によってホップ投入のタイミングが異なる、ということをお伝えしました。主に苦味をつける場合は煮沸の序盤でホップを投入し、主に香りをつける場合は煮沸の最後の段階でホップを投入します。
このように、投入のタイミングによって目的が変わるのですが、ホップそのものも投入のタイミングに適した銘柄があります。苦味づけを目的とするホップをビタリングホップ、香りづけを目的とするホップをアロマホップといいます。主に、ビタリングホップは煮沸時に投入し、アロマホップは煮沸の最後もしくはドライホッピングなどで使われることが多いホップです。
この記事では、ビタリングホップとアロマホップについて解説します。
ビタリングホップとアロマホップの主な違いはα酸の含有量
ビタリングホップとは、主に苦味づけを目的として使われるホップです。一方、アロマホップとは、主に香りづけを目的として使われるホップです。とはいえ、ビタリングホップを香りづけに使えないわけでもありませんし、アロマホップを苦味づけに使えないということでもありません。
両者の大きな違いは、アルファ酸の含有量です。
前回の記事で説明した通り、アルファ酸の一種であるフムロンが熱によってイソフムロンとなり、苦味のもとになります。この含有量が多いホップが苦味づけに適しており、ビタリングホップに分類されるのです。
アロマホップはアルファ酸が比較的少ないのですが、もちろん苦味づけにも使うことができます。ただ、アルファ酸の含有量が少ないということは、同じ苦味を出すにはビタリングホップよりも多くの量のホップが必要になるということです。苦味を出すためには、ビタリングホップを使ったほうが効率的なのです。
代表的なホップの銘柄
ホップの銘柄とその特徴については、また別の記事でご紹介しますが、ここではビタリングホップとアロマホップの代表的な銘柄を挙げてみましょう。
ビタリングホップで代表的な銘柄はノーザンブルワーやマグナム、ナゲットなどが挙げられます。ノーザンブルワーはクリーンな苦味が特徴的で、アロマホップとして使われることもあります。マグナムもピルスナーによく使われるビタリングホップです。
アロマホップの銘柄でよく目にするのはザーツです。チェコの伝統的なアロマホップで、ザーツのようにアロマホップの中でも特に素晴らしい香りを持つザーツは、ファインアロマホップやノーブルホップともいわれます。
また、カスケードやセンテニアルなども代表的なアロマホップといえるでしょう。アメリカンIPAなどに使われることが多く、柑橘系のアロマが特徴です。アメリカンスタイルのビールを語る上では外せないホップといっても過言ではありません。
次の記事では、ビールの苦味を数値化したIBUについて解説します。