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【ホップ概論 第3回】ビール醸造でのホップの使い方

【ホップ概論 第3回】ビール醸造でのホップの使い方

前回はホップの効能についてお伝えしました。今回は、そのホップが醸造段階でどのように使われているのかを紹介していきます。

まず、簡単にビール醸造の流れをみてみましょう。

  1. 麦芽粉砕
  2. 糖化(温水を加えて麦芽のでんぷんを糖に変える)
  3. ろ過(糖化した液体をろ過)
  4. 煮沸(ろ過した麦汁を煮沸)
  5. 冷却(煮沸した麦汁を5度くらいに冷却)
  6. 発酵(酵母を投入して、麦汁の糖分からアルコールと二酸化炭素を造る)
  7. 貯酒(熟成)
  8. 容器詰め(樽・瓶・缶などにビールを詰める)

目的によってホップ投入のタイミングが異なる

一般的にホップを投入するタイミングは、4の煮沸時です。この段階で何回かに分けて、ホップを麦汁に投入します。どの種類のホップを、どれだけの量で、どのタイミングで投入するかによって、ビールの仕上がりは違ってくるのです。

例えば、主に苦味を付ける役割のホップは、煮沸の序盤に投入します。これは、熱を加えることでホップの成分であるα酸の一種フムロンがイソフムロンへと変化して苦味となるからです。その一方で、熱に弱い香りの成分はとんでしまいます。

つまり、煮沸の最後の段階でホップを投入すれば、その逆のことが言えるということ。主に香りを付ける目的の場合は、煮沸の最後の段階でホップを投入します。

この工程をどうデザインするが醸造家の腕の見せどころ。苦味と香りというビールにとって大切な要素がこの段階で決まるのです。

ドライホッピングとディップホップ製法

なお、香り付けにはドライホッピングという方法もあります。ドライホッピングとは発酵終了後(上記6と7の間、もしくは7の段階)にホップを漬け込むことで、熱をほとんど加えないため、ホップの香りをより強く付けることができるのです。

さらには、キリンビールが開発したディップホップという製法もあります。これはホップを発酵段階(上記6)で漬け込む製法です。これまでの方法では出せなかった複雑な香味を引き出せるということで、この製法はグランドキリンで使われています。

グランドキリン ホップは「ヘルスブルッカー」と「ネルソンソーヴィン」を使用。スタイルはIPL(インディア・ペール・ラガー)で、ラガーのすっきりした味わいと、ホップの豊かな香り、苦味が同居する。アルコール度数6%

グランドキリン
ホップは「ヘルスブルッカー」と「ネルソンソーヴィン」を使用。スタイルはIPL(インディア・ペール・ラガー)で、ラガーのすっきりした味わいと、ホップの豊かな香り、苦味が同居する。アルコール度数6%

なお、ホップはその使用目的が苦味付けか香り付けかによって、大きくビタリングホップとアロマホップに分けられるのですが、それについてはまた次回に。

ビールライター

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。

【著書】
教養としてのビール(サイエンス・アイ新書、SBクリエイティブ)
BEER CALENDAR(ワイン王国)

【執筆・監修】
和樂web(小学館)
Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)
東京人(都市出版)
ビール王国(ワイン王国)
ビール大全(楽工社)
るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
あなたのしらない、おいしいビール(cakes)
他多数。

【出演】
金曜たまむすび(TBSラジオ)
ちきゅうラジオ(NHKラジオ第1)
すっぴん!(NHKラジオ第1)
浜美枝のいつかあなたと(文化放送)

Twitter:hiroyukitomie
Website: http://www.hiroyukitomie.me/
Website: 地域とビール

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