TOP
ビール醸造でホップはどう使う?醸造工程とともに紹介

ビール醸造でホップはどう使う?醸造工程とともに紹介

前の記事「ホップの役割とは?ビールにもたらす効果を解説」では、ホップの役割についてお伝えしました。この記事では、ホップは醸造段階でどのように使われているのかを紹介します。

ビール醸造の流れ

まず、簡単にビール醸造の流れをみてみましょう。一般的にビールは下記の流れで造られます。

  1. 麦芽粉砕
  2. 糖化:温水を加えて麦芽のでんぷんを糖に変える
  3. ろ過:糖化した液体をろ過
  4. 煮沸:ろ過した麦汁を煮沸
  5. 冷却:煮沸した麦汁を5度くらいに冷却
  6. 発酵:酵母を投入して、麦汁の糖分からアルコールと二酸化炭素を造る
  7. 貯酒:発酵が終わったばかりのビールを熟成させる
  8. 容器詰め:樽・瓶・缶などにビールを詰める

ホップを使うタイミング

一般的にホップを使うタイミングは、4の煮沸時です。煮沸時において何回かに分けて、ホップを麦汁に投入します。どの種類のホップを、どれだけの量で、どのタイミングで投入するかによって、ビールの仕上がりは違ってくるのです。

例えば、主に苦味をつける役割のホップは、煮沸の序盤に投入します。これは、熱を加えることでホップの成分であるアルファ酸の一種フムロンがイソフムロンへと変化して苦味となるからです。その一方で、熱に弱い香りの成分は揮発してしまいます。

つまり、煮沸の最後の段階でホップを投入すれば、その逆のことがいえるのです。主に香りをつける目的のホップは、煮沸の最後の段階で投入します。煮沸時間が短いため苦味には変化しにくく、香りも残りやすくなります。

この工程をどうデザインするかが醸造家の腕の見せどころ。苦味と香りというビールにとって大切な要素がこの段階で決まるのです。

ドライホッピングとディップホップ製法

香りづけにはドライホッピングという方法もあります。ドライホッピングとは発酵終了後(上記6と7の間、もしくは7の段階)にホップをビールに漬け込む方法です。熱をほとんど加えないため、ホップの香りをより強くつけることができるのです。

さらには、キリンビールが開発したディップホップ製法もあります。これはホップを発酵段階(上記6)で漬け込む製法です。これまでの方法では出せなかった複雑な香味を引き出すだけでなく、好ましくない香りの一部も取り除くことができます。

なお、ホップはその使用目的が苦味づけか香りづけかによって、大きくビタリングホップとアロマホップに分けられます。

次の記事では、ビタリングホップとアロマホップについて解説します。

ビールライター

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。

【著書】
教養としてのビール(サイエンス・アイ新書、SBクリエイティブ)
BEER CALENDAR(ワイン王国)

【執筆・監修】
和樂web(小学館)
Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)
東京人(都市出版)
ビール王国(ワイン王国)
ビール大全(楽工社)
るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
あなたのしらない、おいしいビール(cakes)
他多数。

【出演】
金曜たまむすび(TBSラジオ)
ちきゅうラジオ(NHKラジオ第1)
すっぴん!(NHKラジオ第1)
浜美枝のいつかあなたと(文化放送)

Twitter:hiroyukitomie
Website: 地域とビール
Weblog: 地域とビールとブログと