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フレッシュホップビール官能評価会開催!分析結果からわかることとは

フレッシュホップビール官能評価会開催!分析結果からわかることとは

フレッシュホップフェスト2021が終了して間もない2021年12月10日(金)、フレッシュホップフェスト参加ブルワリーのうち8社とキリンビールのマスターブリュワーである田山智広さんがスプリングバレーブルワリー東京に集まり、フレッシュホップビールの官能評価会を行いました。

参加したのは下記の9社です(括弧内は分析したフレッシュホップビール)。

  • 湘南ビール(フレッシュホップIPA)
  • ベアレン醸造所(国産原料100%ビール)
  • 宮崎ひでじビール(宮崎フレッシュホップエール2021)
  • Far Yeast Brewing(Farm to Brew)
  • コエドブルワリー(Fresh Hop -2021-)
  • 和歌山ブルワリー(fresh hop 2021)
  • ヤッホーブルーイング(軽井沢ビール クラフトザウルス Fresh Hop Ale 2021)
  • 京都与謝野酒造(Hop-Up Beer ハレバレゴールデン)
  • スプリングバレーブルワリー(JAPAN HOP)

フレッシュホップフェスト官能評価会

官能評価会とは、各社が醸造したフレッシュホップビールをテイスティングしあいながら、ディスカッションを行うものです。官能評価会に先立って、参加各社のフレッシュホップビールをキリンビール仙台工場で化学分析しています。その分析結果をもとにディスカッションを行い、醸造に関する疑問や課題の解決を図ることが、今回の官能評価会の目的です。

今回は約2時間にわたって官能評価会が行われました。その模様をレポートします。

フレッシュホップビールの化学分析からわかること

フレッシュホップフェスト官能評価会

官能評価会に先立って行われた化学分析では、下記の15項目について分析しました。

  • pH
  • 外観エキス(AE)
  • オリジナルエキス(OE)
  • 15℃アルコール
  • 真正エキス(RE)
  • 比重(SG)15℃/4℃
  • 外観発酵度(AA)
  • 最終外観エキス
  • 外観最終発酵度(AAL)
  • AAL−AA
  • BU
  • 色度
  • アセトアルデヒド(AA)
  • 酢酸エチル(EA)
  • イソアミルアルコール
  • 酢酸イソアミル(IAA)
  • TDA

上記のうち、一部の項目について紹介します。

pH

pHはビールの酸性度を計る指標です。ビールでは4%台になることが多く、数値が低いほど酸性度が高くなります。4.4%以下に抑えられていれば、微生物の混濁があったとしても汚染はそれほど進まないと考えられます。

BU

BUは苦味の指標です。異性化していないアルファ酸でも数値として出てしまうため、特に生ホップを使った場合は、BUの歩留まりが悪い傾向があります。

酢酸エチル(EA)

酢酸エチルはエステルに関わる代表的な指標です。酵母や発酵条件によっても左右される数値で、ピルスナーでは10〜20mg/Lにおさまることが多いとされています。

アセトアルデヒド(AA)

アセトアルデヒドは未熟臭の指標となるもので、思いどおりの発酵ができているかの判断基準となります。アセトアルデヒドが6mg/Lを超えるとオフフレーバーが出ているといえるでしょう。
アセトアルデヒドは青りんごのような香りとして感じられますが、これを改善するには酵母のハンドリングが重要になってきます。

TDA

TDA(トータルダイアセチル)はダイアセチルの総量のことで、未熟臭の指標となっています。0.06mg/L程度におさまっていれば、オフフレーバーにはならないといえるでしょう。

官能評価会に参加したブルワリーの感想

フレッシュホップフェスト官能評価会

官能評価会後のアンケートを行ったところ、分析結果やディスカッションは有意義だったという意見がほとんどでした。約2時間に渡って行われましたが、時間が足りないという意見も。いくつかの意見をピックアップしてご紹介します。

官能評価会の感想

  • 他ブルワリーのフレッシュホップビールを試飲と評価・分析値を知ることができて、大変有意義な時間となった。自社のフレッシュホップビールの分析値の結果や欠点などを確認することができ、課題が明確化できた。
  • ディスカッションで、各社のビール良い面、悪い面を聞けて良かった。
  • 分析値から裏付けされたアロマやフレーバーを体験できたのは、とても有意義だった。
  • イベントが少ない昨今、お互いのビールをテイストしながらの意見交換会は非常に有意義だった。ブルワリー数は全体からすると少なめだったが、ディスカッションするにはちょうど良い数だったのでは。

分析を踏まえた上でのフレッシュホップビールの方向性

  • ホップの育成を見直し、より香気成分の含んだ品質のいいホップを栽培できるよう改善したい。そして、改善したホップを使用し、今年と比較して、より強いカスケードのアロマを感じるフレッシュホップビールを目指したい。
  • フレッシュホップらしい個性をまず出したい。その後で全体のバランスの取り方を考えていきたい。
  • フレッシュホップの特徴を消費者にどう伝えるかについては、いい意味で「若干のオフバランス」もありではないか? と思う。
  • フレッシュホップの香味における優位性は何かと考えると、ペレットでは出せない香味がフレッシュホップでは出せる、という切り口が良いように感じている。グリーン・ウリ・メロンをポジティブと解釈した方向性が良いと思う。
  • 今回のディスカッションで、「フレッシュホップ」が出すアロマやフレーバーをどのように捉えているのかがそれぞれでまったく違うということに気づいた。私たちとしては「フレッシュホップを使う」ということはもちろんだが、お客様がおいしいと思うビールを造るというゴールを一番に目指したい。

官能評価会などに参加するには日本産ホップ推進委員会の賛同登録を

フレッシュホップフェスト官能評価会

2021年もオフラインイベントができなかったフレッシュホップフェストですが、官能評価会を開催できたことで、各社のビール造りの参考になったのではないでしょうか。

日本産ホップ推進委員会が行っている日本産ホップ推進の活動に賛同していただければ、各社の情報ページを掲載するだけでなく、今回のような官能評価会などにも参加することができます。

下記リンクから、ぜひ日本産ホップ推進委員会への賛同登録(無料)をお願いいたします。

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ビールライター

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。

【著書】
教養としてのビール(サイエンス・アイ新書、SBクリエイティブ)
BEER CALENDAR(ワイン王国)

【執筆・監修】
和樂web(小学館)
Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)
東京人(都市出版)
ビール王国(ワイン王国)
ビール大全(楽工社)
るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
あなたのしらない、おいしいビール(cakes)
他多数。

【出演】
金曜たまむすび(TBSラジオ)
ちきゅうラジオ(NHKラジオ第1)
すっぴん!(NHKラジオ第1)
浜美枝のいつかあなたと(文化放送)

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