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ホップ産業を中心とした循環型の社会へ前進する「ホップジャパン」

「都路(みやこじ)ホップファーム」は、株式会社ホップジャパンが福島県田村市から借用・運営している圃場です。同社はビールの原材料であるホップ栽培を中心に、地域産業の6次化と循環型の地域活性を目指して、代表取締役を務める本間誠さんが2015年に宮城県仙台市で創業しました。現在、田村市の公共施設「グリーンパーク都路」をホップジャパンの拠点とし、田村産ホップをふんだんに使用した“ジャパニーズクラフトビール”造りを目標に、着々と歩みを進めています。
グリーンパーク都路のある田村市は、福島県中央部にある阿武隈高原の標高400m~700mに位置する地域。本間さんは2017年、約20a(2000㎡)の畑で地元農家の協力を得て国産ホップの試験栽培を成功させ、翌年には新たな栽培農家を迎えて圃場の広さを1ha(1万㎡)に広げています。そこで収穫したホップを使い、自社ブランドのフレッシュホップビールを委託醸造で造ってきました。

今年はホップジャパンにとって「ホップ栽培もビール醸造も、自分たちの手で始める」記念すべき年。自社圃場である都路ホップファームに加え、8月にはついに自社の醸造所「都路ホップガーデンブルワリー」がオープンするのです。

空から見た都路ホップファーム。2020年5月8日撮影

ホップジャパン代表の本間さん。ホップ農家に育ててもらった2年物の株を植え込む。2020年5月8日撮影

圃場での作業負荷軽減のためにウインチ式施設を開発

ホップジャパンがフレッシュホップフェストに「ホップ生産者(Grower)」として参加するのは、昨年に続き2回目。そして前述の通り、今年からは自分たちがホップ栽培を手掛ける「都路ホップファーム」が始動しました。都路ホップファームの広さは約10a(1000㎡)。アメリカンホップの「マウントフッド」「クリスタル」、そして日本生まれの「ソラチエース」を、計200株栽培しています。

2020年5月8日撮影


2020年5月26日撮影


ホップジャパンが契約するホップ農家、そして都路ホップファームの最大の特徴は、圃場に支柱を建ててワイヤーを圃場全体に張り巡らせ、ホップのつるを誘引するウインチ式の設備を開発・導入した点です。

photo:山口紗佳


ウインチ方式を使った圃場での収穫風景(2019年)

収穫時には5m以上の高さに成長するホップは、必然的に高所での作業が多く発生するため、作業する人に少なからず負担が生じます。ウインチ式設備の導入は、収穫時に支柱のてっぺんまで伸びたホップの蔓を、ウインチを使いワイヤーごと地上に下ろせるようにするためのもの。はしごで高いところに登らずとも作業をできるようにすることで、作業負担と効率の軽減を実現しているのです。

収穫したホップは数分で煮沸釜へ!

「ここで生産したホップを流通させ、その国産ホップを使ったクラフトビールで人やモノを呼び込める仕組み造りを進めています」と話す本間さん。6月4日からはオンラインショップでのビール販売を開始しました。「今年はまず、しっかりした圃場をつくるのが目標。都路ホップファームでホップが収穫できるようになれば、収穫から数分というスピード感で醸造釜に投入できるようになりますよ!」と本間さんの顔がほころびます。

グリーンパーク都路の敷地内には、田村市が管理するオートキャンプ場が併設されています。今後はクラフトビールが飲めるキャンプ場として、例えば「ビールと星空キャンプ」のような、コラボ企画を提供していく予定とのことです。

「ビールファンには、ぜひホップの成長を見に来てほしい。ほかにも、4月は山桜、5月は施設内の藤棚が見事で、6月にはホップの蔓が伸び、8月にホップの収穫、9月は赤そばの花が咲き誇ります。10月と11月はナツハゼ(ブルーベリーの仲間)の収穫ができるなど、それぞれの季節を通してアウトドアが楽しめるブルワリーでもあるんですよ」

収穫ほやほやのホップを使った「ハーヴェストブリュー」が造れるブルワリーは、国内では貴重な存在です。都路ホップガーデンブルワリーのフレッシュホップビールは、グリーンパーク都路で乾杯しながら、阿武隈の緑とともに楽しみたいですね。

*本記事の掲載写真(記名以外)はホップジャパン提供

DATA

会社名:株式会社ホップジャパン
圃場名:都路ホップファーム
ブルワリー名:都路ホップガーデンブルワリー
住所:福島県田村市都路町岩井沢北向185-6 グリーンパーク都路内
栽培面積:10a(1000㎡)
栽培品種:マウントフッド/クリスタル/ソラチエース
ホップ購入方法:外販あり

ホップ

日本産ホップ推進委員会・事務局です。
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