香川県の中央部、瀬戸内海に面した北部に位置する丸亀市は、石垣が日本一の高さを誇る丸亀城や、讃岐平野を象徴する飯野山(別名、讃岐富士)が市のシンボルとして知られています。その丸亀市初のブルワリーとして2017年に誕生したのがミロクビール。
ブルワリー名の「ミロク」は、釈迦が救えなかった人を救うとされる救世主「弥勒菩薩」と、マイクロブルワリー(microbrewery)のmicroの文字を入れ替えて「ミロク」とし、「小規模」であることを「魅力」に替える、という2つの意味を備えています。
そのミロクビール醸造担当の岡田大典さんに、ビールのコンセプトと2020年のフレッシュホップビールについて聞きました。
ヨーロッパスタイルをベースにオリジナリティを追求
――ミロクビールのコンセプトについて教えてください。
岡田大典(以下、岡田):ヨーロッパの伝統的なスタイルをベースとしながらも、自由なビールの魅力を楽しんでいただくために、さまざまなビールに取り組んでいます。例えば、アメリカンスタイルのビールでもヨーロッパ産のホップを掛け合わせるなど、ミロクビールならではの味わいを追及しているところです。
醸造では各工程において丁寧な作業を意識しています。特に神経を注ぐのはビールの全体像を決める麦汁づくり。雑味のないきれいな麦汁をとるために、濾過工程には気を配っています。
――定番商品としてはどのようなビールがあるのでしょうか?
岡田:まずはミロクビールの看板商品である「阿字観」。
良質なホップをふんだんに使用して、力強いホップアロマとマリスオッターモルトならではの麦芽のコクが楽しめるアメリカンIPLです。
「ブリテッシュエール」はモルトの甘みとホップの華やかな香りが特徴のイングリッシュスタイルのビターエール。
「レモンレター」は香川県産の有機栽培レモンを香り付けに使用した、すっきりと爽やかなフルーツセゾンです。
「ニルヴァーナ」は香ばしいモルトの香りと、濃厚なタフィーキャンディー、カラメルを思わせる味わいが特徴のインペリアルスタウト。
「般若」は数種類のモルトの組み合わせによって生み出された赤色が目を引くレッドライIPAです。たっぷり使ったアロマホップの甘く華やかな香りと、ライ麦モルト由来のスパイシーな口当たりが上手にバランスしたビールです。
そして一風変わっているのは「旋風」。麦芽の代わりに、茹でてペースト状にした讃岐うどんを使用したビールです(笑)。
香川県三豊市にある人気うどん店「本格手打ちうどん もり」のうどんを60玉も使っています。贅沢に使ったホップの芳醇な香りと、なめらかでやさしい口当たりが特徴。スタイルは「ウドンIPA」ですね(笑)。
お客様にはどのビールも「飲みやすい」とご好評いただいております。
ホッピーなビールはアロマホップの豊かな香り、モルティなビールであれば、麦芽のやさしい香りに驚かれて、ミロクビールに興味を持ってくださるようです。
万全の態勢で仕込みに臨んだフレッシュホップビール
――2020年のフレッシュホップビールについて教えてください。
岡田:2020年で3回目の参加になります。例年お客様にはホップのみずみずしさや、今でしか飲めない季節感を楽しんでいただいております。今年は福島県田村市の株式会社ホップジャパン様から仕入れたホールリーフ状態の冷凍IBUKIを使い、ドライホッピングにはカスケードを使ったセゾンスタイルの「イブキセゾン」を醸造しました。
仕込みにあたっては、鮮度が命のフレッシュホップの魅力を最大限引き出すために、念入りにスケジュールを調整。ホップが届き次第すぐ仕込みに取り掛かれるように受け入れ態勢を整え、ホップの成分を余すところなく抽出するために投入する直前にリーフをひとつずつ丁寧に揉みほぐすなど、仕込みには気合いを入れて臨んでいます。
2020年のフレッシュホップビールは、セゾンイーストの粘り強い発酵によるキレの良さと爽やかな飲み口が特徴です。IBUKIの持つ土や若草を思わせるアーシーなアロマとの相乗効果を生み出して、うまい具合に仕上がったと思いますよ。通常のタイミングからは少し遅れてのご提供になりましたが、ようやく完成したミロクビールのフレッシュホップビールをこの機会にぜひお試しいただけたら幸いです。
※写真提供:ミロクビール
DATA
ミロクビール
住所:香川県丸亀市北平山町2-5-15
電話:0877-43-7067
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