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毎年同じレシピでその年のIBUKIを楽しむOctagonの哲学

静岡県西部、JR浜松駅北口から徒歩10分の旧東海道沿いにあるOctagon Brewingは、浜松のにぎわい再生のフックとして2018年1月に自家醸造をスタートしました。

運営するのは、浜松を中心に不動産事業や再開発事業を手掛ける株式会社丸八不動産。サイクリストでもある同社代表取締役社長の平野啓介さんが、自転車仲間とレースに出るために向かった海外の遠征先で「まちづくり」のヒントを得たことがきっかけ。都市部から離れたブリューパブでも地元の人が集まり、地元のビールを中心に活発なコミュニティが生まれていたのです。

「おいしいビールには人を引き寄せ、コミュニティや文化をつくる力がある」

そう確信して、地元の人に愛されるビールまちなかのにぎわいを取り戻そうと立ち上げたのが、都市型ブリューパブのOctagon Brewingです。

自由で個性的だからこそ、クリーンな味わいを大切に

ブルワリー名Octagonに由来した八角柱のタップハンドル

醸造業務全般を担うのは、千葉恭広さん。学生時代にベルギービールの多様性と奥深さに触れた千葉さんは、卒業後にビール醸造の教育機関であるミュンヘン工科大学醸造飲料工学科で醸造を基礎から学びました。その後、フライベルガー醸造所やヴァイエンシュテファン研究醸造所の実地研修を経て、ドイツの国家資格であるDiplom-Braumeister(ディプロム・ブラウマイスター)を取得。

数々のブロイハウスを訪ねながらよそ5年間、ドイツでビール醸造を学び、帰国後は東京のブルーパブで技術指導や品質管理、アドバイザーなどを務めました。ビール発祥国での正統なキャリアを重ねたからこそ、千葉さんが大切にするのは「きれいなビール」といいます。

千葉さんにその真意とフレッシュホップフェストについて話を聞きました。

地元飲食店や農家と連携したビール造りを積極的に行っている

――千葉さんが醸造で大切にしていることと、その理由を教えてください。

千葉:ビールのコンセプトとしては「きれいなビール」です。ビールは自由で多彩、個性豊かだからこそ、守りたいのがクリーンな味わい。個性を表現する前に、それを邪魔する雑味やよけいなものを感じない、澄んだきれいなビールを造ることをモットーとしています。

そのために原材料の選び方から保管・管理、仕込み、発酵・熟成工程、そして機械設備の洗浄まで、醸造工程全般でオフフレーバーや雑味が出ないように細心の注意を払っています。

―― 確かにするすると飲めるビールが多い印象です。定番商品と特徴を教えてください。

千葉:代表的なものは「ブレイクアウェイIPA」と「ジューシーフルーツ」「ジャスミンエール」ですね。

「ブレイクアウェイIPA」は、アメリカンIPAらしくホップ感をしっかり出しながらもしつこくない程度に抑えて、さらっとした飲み口を意識しました。それほどボディが重くないので、何杯でも飲み続けられるIPAです。

「ジューシーフルーツ」は地元浜松のみかんを使用したフルーティーなセッションIPA。爽やかな柑橘感を楽しみながら、すっきり飲み切れるように仕上げています。

「ジャスミンエール」は、ジャスミンの花をたっぷり使ったハーブエールです。グラスからあふれ出るジャスミンの香りから、口の中に広がるジャスミン風味、鼻からふわりと抜ける華やかな香りまで、豊かなジャスミンのフレーバーを存分に感じることができます。麦芽の甘味とボディがジャスミンのフレーバーをしっかり支えているので、じっくりジャスミンを楽しみたい方におすすめです。1回の仕込みは300Lと少ないので、小回りの良さを生かして、みかんや蕎麦、米などさまざまな特産品を使ってビールを醸造しています。

定番の「ブレイクアウェイIPA」(左)、「ジューシーフルーツ」(中)、「ジャスミンエール」(右)

Octagonファンが期待するIBUKIのセッションIPA

パウダー状のホップを目の細かいネットに詰めて煮沸終了時に投入する、フレッシュホップビールの仕込み(写真は2018年撮影)

――フレッシュホップフェストに期待することを教えてください。

 千葉:そうですね、2020年で3回目の参加になります。同じホップを使っていてもブルワリーごとに味の違いが楽しめるということと、日本産のフレッシュホップを使用していることに興味を持ってくださるお客様もいらっしゃいます。

ただ、ホップの収穫時期に行う全国的なキャンペーンという認識は薄いように感じるので、時期を決めて同時リリースした方がイベント感を打ち出せるかもしれません。

――収穫時期にバラつきがあるので全国統一は難しいですが、地域や店舗ごとに連携できれば飲み比べが楽しめますね。ホップの入手先もブルワリーごとに違いますが、Octagon Brewingでは今年もIBUKIを使う予定だとか。

千葉:今年もIBUKIを使ったセッションIPAを予定しています。毎年同じビアスタイルで、ホップは煮沸終了時に全量投入する方法など、ほぼ同じレシピで造っています。今でしか飲めないフレッシュホップビールなので、ホップそのもののキャラクターをしっかり感じてほしいですね。

――造り方を変えないことでその年ごとのホップの違いが感じられますね。フレッシュホップを扱う上で、特に気をつけていることはありますか?

 千葉:鮮度が何よりも大切なフレッシュホップなので、届いたらすぐに冷凍庫で保管して、できる限り早めに使うようにしています。

ガラス越しに5基のタンクが並ぶ醸造ルームが見える(パブ営業は休業中)

※写真提供:Octagon Brewing

DATA

Octagon Brewing
住所:静岡県浜松市中区田町315-25
電話:053-401-2007
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※パブ営業は休業中

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ライター|編集者

1982年、愛知県知多半島出身、大分県在住。中央大学法学部法律学科卒。
名古屋でブライダル情報誌、東京の編集プロダクションで企業広報、教育文化、グルメ、健康美容、趣味生活、アニメなど多媒体の広告・書籍の制作を経て静岡でフリーの編集ライターに。現在は九州・大分県で活動中。

【制作実績】
フリーペーパー『静岡クラフトビアマップ県Ver.』
ビール専門雑誌『ビール王国』
書籍『世界が憧れる日本酒78』
グルメ情報サイト『メシ通』
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/
クラフトビールのショッピングサイト『ビールの縁側』(「ブルワーとはなす」インタビュー)等
https://beer-engawa.jp/blog/talk/

【メディア出演】
静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」
静岡FMラジオ局k-mix「おひるま協同組合」
UTYテレビ山梨「UTYスペシャル ビールは山梨から始まった!?」
静岡新聞「県内地ビール 地図で配信」「こちら女性編集室(こち女)」等

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