6次産業化を目指し与謝野町をホップ産地に
「京都府では産業としてのホップ栽培の実績がなく、全く未知の世界でした」というように、手探りの状態から始まった。他の地域の栽培方法も参考に、この土地に合った栽培方法を模索していった。収穫量は年々増え、関西圏初のホップ栽培に成功した。
ホップの販売先にはこだわった。「ビール業界の専門家にアドバイスをもらい、販売先を厳選しました。『与謝野ホップを買いたい』という問い合わせは数多くいただきましたが、ブルワーの醸造技術や考え方、国産ホップの重要性と販売価格への理解があるブルワリーに限って供給したいと考えました」。ビール造りに情熱を注ぐ様々な熱いブルワリーに使って欲しいという思いから、与謝野町のホップ圃場に足を運んでくれたり、一緒に手摘みしてくれたブルワー達へ供給している。
ビールメーカーと契約栽培しない事は、自分たちで販路開拓をする必要がある。経済的自立という課題をクリアしていかなければならないが、こうした取り組みが「ブランディング賞」に評価された。
現在も、『与謝野ホップを使いたい」という要望に加え、ホップ苗や栽培技術についての問い合わせもあり、単なる「国産ホップ」というだけでなく「与謝野ホップ」として注目が集まっていることを実感しているという。
また今夏に町内限定で販売された“与謝野絶景ビール”は、町内で栽培されたホップを使ったビールを飲んだことがなく、『飲んでみたい!』という町民の声を実現したものである。今後は、「与謝野ホップがブルワー様によって個性豊かで様々なビアスタイルに生まれ変わり、たくさんのクラフトビールファンに楽しんでもらいたい」とのことだ。(取材・文/ビアジャーナリスト木暮亮)