自らの力でチャレンジする新鋭ブルワリー
八ヶ岳の地でオーガニック農家をしている楠瀬氏と鈴木氏はアメリカ西海岸のブルーパブでクラフトビールに出会った。人々が楽しそうに飲む風景とビールのアロマに衝撃を受けたという。
その魅力に惹き込まれた2人は帰国後、ホップの苗をアメリカから取り寄せ、無農薬での栽培を始めた。手探りながら想定内の量を収穫することに成功。現在はカスケードをはじめ、4種類を中心に栽培し、十数種類の苗を保管している。収穫したホップは、委託醸造でビールを造り、SNSを通じて瞬く間に完売した。
まだデータも少なく試験的ではあるが、「6割程度の収穫は可能」と無農薬でのホップ栽培に手応えも感じている。また、醸造所やバイオジオフィルターなど可能な限りセルフビルドで行い、醸造設備の一部は、「自分たちが挑戦していることをより深く知ってもらう」ことを目的にクラウドファンディングを利用した。
支援金は187人の支援者を得て、目標の300万円を達成。こうした環境や経営、製品クオリティのバランスがとれた小さな循環システムであるサステナブルワリーに挑戦する姿勢がチャレンジ賞に評価された。
醸造は2018年春までに開始できる予定だ。当面は輸入品も併用し、できるだけ自家産やオーガニック原料を使用していく。「つくるほど、飲むほど地球や生き物、みんなが幸せになるビールづくり」を目指している。次回のFHFには、彼らのビールも名前を連ねることを楽しみに待ちたい。(取材・文/ビアジャーナリスト木暮亮)