藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町 道具編
その⑥「除草に必要な道具」
最近、ホップを栽培してみたい。という人が増えてきています。
私の住む京都府与謝野町にも視察の方が各地からお越しになられます。
そんな方々を含め、ホップ栽培を始めようという人に参考にしていただきたいという願いから、去年2023年は「藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町」という連載コラムを書きました。
その連載コラムに引き続き、今年2024年は、「どのような道具が必要なのか? どのような服装が適切なのか?」というテーマで解説していきたいと思います。
今回は【除草】に必要な道具を紹介したいと思います。
Contents
草刈りの音が常に聞こえる季節
この季節、与謝野は草刈りで大忙しです。
農家はもちろんのこと、各家庭の庭先や道路脇などの草刈りが必要で、朝早くから日没近くまでブィ〜〜〜ンという草刈り機(刈払機)の音が常に聞こえています。
除草に関しては、昨年2023年6月1日付けの「栽培日記:ホップを守ろう」の回でもすこし触れましたが、今回はさらに詳しく除草に必要な道具を紹介したいと思います。
なぜ草刈りが必要なの?
さて、ここで素朴な疑問なのですが、なぜ草刈りが必要なのでしょうか?
なかには、「ちょっとぐらい雑草が生えていてもいいんじゃない?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、その考え方にも一理あります。
しかし、ホップの周りに雑草があると
- 土からの養分を雑草に持っていかれてしまう。
- 雑草によってホップの根元が蒸れて病気になりやすくなったり、根腐れの原因になる。
- 害虫が隠れやすくなる。
- 作業がしづらくなる。
といった弊害が生まれます。
雑草に肥料をやる?
土からの養分が雑草に持っていかれてしまうというのは、わかりやすいかと思います。
人間でも、1つのパンを1人で食べるのと大勢で食べるのでは違ってきますものね。
雑草が多いと追肥しても肥料代が無駄になってしまいますし、雑草が元気に育ってしまい逆効果です。
地元の農家の方は「追肥前に草刈りをせねば、雑草に肥料をやっているようなもんだ」なんて言ってます。笑
蒸れるとカビる?
ホップは湿気を嫌います。
ホップの病気で注意しなければならないのがベト病や白カビ病などですが、どちらもカビが原因です。
雑草による根元の蒸れはカビの原因にもなりますので、除草ですっきりさせておきましょう。
害虫の隠れ家をなくす。
雑草の根元は害虫が潜みやすい場所です。
草刈りをしていると虫たちが慌てて逃げ出すなどということがよくあります。
害虫を駆除するためにも除草は必要です。
手作業で除草する場合の道具
除草の最も手軽な方法は、手作業です。
まず活躍するのが【三角ホー】という農具です。
正直なところ、私はホップの農作業をするまで、この「ホー」という農具を知りませんでした。
名前も知らなかったので、地元の農家の方に「ホーを持ってきてくれ」と言われた時は「ホ〜ォ〜?」と首を傾げたものでした。苦笑
使い方は実にシンプルで、ホーの先で雑草をガンガン掘り起こします。
柄の短い三角ホーもあり、これはしゃがんで雑草を掘り起こす時に使います。
ホーで雑草を根こそぎ掘り起こしていきます。
ホー以外ではやはり鎌でしょうね。
稲刈りの要領でザクザクと刈っていきましょう。
雑草を根から引き抜きたい時は、刃がギザギザの【ノコギリ鎌・草ぬき鎌】が便利です。
鎌の先を雑草の根元の土に差し込んで根ごと引き抜きます。
ノコギリ刃の鎌を使って雑草を根ごと引き抜くことができます。
草刈り機はエンジン式? 電動式?
手作業では追いつかない広さの場合、【草刈り機】を使います。
草刈機には、エンジン式と電動式があり、電動式には充電式とコード付きのものがあります。
ホップ畑でコード付きの草刈り機は現実的でないので、電動式の場合は充電式を使うことになります。
【エンジン式】のメリットはやはり、パワーがあるということです。また、燃料さえ補充すれば長時間使用できるということです。
デメリットは重いということ、始動に力がいること、混合燃料を作らなければならない(ガソリンスタンドで作ってくれる場合もありますが割高です)ということです。
【電動式】のメリットは軽いということと始動が楽ということです。
デメリットはパワー不足とバッテリー切れの心配があげられます。
長時間使用する場合はバッテリーを複数用意しておく必要があります。
雑草が多い場所や広い畑の場合は、エンジン式が便利ですし、体力や腕力に自信がない人にとって、電動の軽さはありがたいと思います。
草刈り機の刃にも種類がある。
エンジン式にしろ電動にしろ、刃には【金属製の円盤】と【ナイロンコード】の2種類があります。
一般的に、「草刈り機」といえば金属製の円盤が回転するものを思い浮かべる方がほとんどでしょう。最も普及している草刈り機です
金属製の刃で注意したいのは、安全面です。
高速で回転する金属の刃は非常に危険です。
これは草刈り機に限った事ではないのですが、「めんどくさい」とか「ちょっとくらい大丈夫」といった気持ちが大きな事故につながる事があります。
草刈り機でのケガは、軽傷と呼べるものではなく、大ケガになる事がほとんどです。場合によっては命を落とすことすらあります。
まず、何かあれば動力を止める! ということを心がけましょう。
回転する刃に草やツルなどが絡みついてしまった時、再度エンジンをかけ直すのが面倒で、動力スイッチを切らずアイドリング状態のまま作業したくなる事があります。
ササッと取り払うだけなので、「まっ、いいかぁ」と思いがちですが、非常に危険な行為です。
回転する刃の右上(時計で例えると、0時から3時の部分)に石や立ち木、壁など硬いものが当たると「キックバック」と呼ばれる跳ね返りがおきます。
もちろん、パーティー券をいっぱい売ったらお金が戻ってくるというキックバックではありません。苦笑
草刈り機の刃は反時計回りに回転しているので、回転を妨げる力が右上部分に加わった場合、作業者の右方向に跳ねあげられる現象です。
跳ねた草刈り機で、自分はもとより周りの人を傷つける事もあるので注意しましょう。
キックバックだけでなく、刃が欠けて飛んだり、小石を弾き飛ばしたりすることがあるので、草刈り機を使用する場合は、半径15m以内に他の人がいないことを確認しましょう。
作業の際は、頭を守るヘルメットや目を守るフェイスマスクやゴーグルをしておきたいものです。
ナイロンコードが回転する草刈り機は、金属製の円盤が回転する草刈り機に比べると、重篤なケガのリスクは下がります。
もちろん、回転するナイロンコードに触れると危険ですが、金属の刃のようにザックリと切るようなケガではありません。
ナイロンコードの草刈り機は、石や立ち木の周辺や壁際の草刈りに実力を発揮します。ホップ畑のようにポールやワイヤーの多い場所では、とても便利です。
ワイヤーやポールなどの周りはコード式の草刈り機が便利です。
しかし、ナイロンコードの草刈り機は刈り取った草の飛び散りかたが円盤式よりもひどいので、顔(特に目)を守る必要があります。
【フェイスガード】や【ゴーグル】を用意しましょう。
また、飛び散った草によって服が(想像を絶するほど)汚れるので、【エプロン】の着用をお勧めします。
自走式草刈り機も便利
ホップ畑が広くなると、【自走式の草刈り機】が欲しくなってきます。
4輪の草刈り機で、回転式のブレードが草を刈っていきます。
斜面の雑草を刈るのに適していて、棚田や段々畑の法面の除草に活躍します。
この自走式草刈り機で畝の間の平面を刈るととても楽ですし、時間も節約できます。
かなり背の高くなった雑草でもへっちゃらです。
平面を自走式で刈って、畝のきわは回転式の草刈り機で刈り取ると効率よく仕事ができます。
雑草だらけのホップ畑は、見栄えが悪いだけでなくホップにとっても良くありません。
暑い季節になっていきますが、しっかりと除草しましょう。
では、また!
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