ホップにまつわる書籍
今や情報はネットで検索する時代と言われているが、やはり【書籍】にはネットとは違った良さがある。
書籍には、紙の手触り、重量感やビジュアルの美しさ、インクの香りや光沢など数多くの魅力がある。
そして、手元に所有しているという満足感やペラペラとページをめくっていくワクワクした気持ちはPC画面では味わうことができない。
ホップを愛する皆さんにとって【ホップにまつわる書籍】は、単に知識や情報を得るツールだけではないはずだ。
今回は、そんな【ホップにまつわる書籍】を紹介していきたい。
*紹介順は出版年度の古い順で、著者名の敬称は略させていただく。
Contents
- 1 ホップにまつわる書籍
- 1.1 特産シリーズ ホップ 多収栽培の新技術
- 1.2 ビールとホップ 苦悩と栄光の歴史
- 1.3 HOMEGROWN HOPS An Illustrated How-To-Do-It Manual
- 1.4 THE HOP ATLAS The History and Geography of the Cultivated Plant
- 1.5 Homebrewer’s GARDEN
- 1.6 For the Love of Hops
- 1.7 The Hop Grower’s Handbook:The Essential Guide for Sustainable Small-scale Production for Home and Market
- 1.8 THE BOOK OF HOPS
- 1.9 BEER LOVER’S BOOK 一生ものの趣味になるビール入門
ホップにまつわる書籍
特産シリーズ ホップ 多収栽培の新技術
浜口典成 著(1967年)/農山漁村文化協会
著者の浜口典成は北海道帝国大学(現北海道大学)農学部卒業後サッポロビール原料課などでの勤務を経て、執筆当時は長野作業所長職に従事。
昭和31年には「ホップの生長と分化」で農学博士になっている。
内容は、ホップ栽培の技術書としては最も専門的といっても過言ではないのだが、惜しむらくは資料が古い(一例としては「ホップはクワ科に属する」と紹介されている。出版当時はクワ科に分類されていたが、現在のAPG植物分類体系ではアサ科とされている)ことや、栽培地が信州以北、品種も信州早生などの日本品種に限られていることだ。
とはいえ、筆者自身がまえがきで「ホップそのものの性質にはどの地域でもまったく変わりがない」「初心者にも出来るだけわかりやすく述べ、その応用について示唆した」と述べているように、現在でも参考になる部分が多々ある。
この本を入手することはかなり困難だが図書館で閲覧できる。
所蔵図書館
*所蔵内容が変わっている場合もあるので要注意。
ビールとホップ 苦悩と栄光の歴史
北島親 著(1968年)/徳間書店
著者の北島親は東京大学農学部卒業後キリンビールに入社。
執筆当時は原料部勤務。
ビール醸造とホップの歴史が順を追って細かく書かれている。
ハーブなどのグルトーが原料の主流だった中世時代を「苦闘」、その後ホップが台頭してきた時代を「栄光」として語っている。
非常に興味深い視点だ。
著者自身のあとがきにもあるように、数多くの史実が蒐集されている。
時代、政治、経済、産業、文化との関連、ホップの植物学的性状、醸造上の役割、栽培法の進化、世界的産地なども記されている。
余談だが、私はこの本を古書として手に入れたが、ページの間に過去の納品書が挟まれたままであった。
それによると、昭和45年7月2日に名古屋市瑞穂区の書店から名古屋市南区の中学校教諭に580円で納品されている。
歴史か生物学の教材だったのだろうか? それとも単に個人的な趣味だったのか? どちらにしても購入者の先生は、かなりのビール好きだったのだろう。
そんな想像を巡らせるのも古書を買う魅力のひとつなのかもしれない。
洋書もいくつか紹介したい。
HOMEGROWN HOPS An Illustrated How-To-Do-It Manual
David R.Beach 著(1988年)/ISBN:0962119504
書誌情報では「Published by David R.Beach」と著者自身の名前が記されているので自費出版かと思われるが、初版が1988年で9刷が1996年となっているし、ISBN(国際書籍番号)もあるので、それなりの部数が流通したと推測される。
ホップの乾燥機を自作していて、その写真やイラストも載っている。
小規模なホップ栽培の参考書としては充分な内容だ。
THE HOP ATLAS The History and Geography of the Cultivated Plant
Heinrich Joh. Barth、Christiane Klinke、Claus Schmidt 著(1994年)/ISBN:978-3418007458
380ページを超える大型本だ。
野生種から栽培種に至るホップの歴史、ビール醸造との関わり、伝統的なホップ栽培地や振興栽培地、ホップの品種などが美しい写真や地図で紹介されている。
これまた余談だが、私はドイツで著者のひとりClaus Schmidt氏にお目にかかり、ご自宅まで伺い、この本やホップについて語り合った経験がある。学者らしく知的で聡明な方だった。
Homebrewer’s GARDEN
Joe Fisher & Dennis Fisher 著(1st Edition1998年・ 2nd Edition2016年)/Storey Publishing/ISBN:978-1580170109
タイトル通りハーブなども含む「自家醸造家向け家庭菜園書」だが、40ページにわたり「ホップ栽培」について書かれている。
各品種の特徴、畝の間隔や高さ、害虫、収穫、さらには乾燥の方法まで多岐に及ぶ。
巻末にはビア・レシピも載っておりブルワーには参考になるに違いない。
For the Love of Hops
Stan Hieronymus 著(2012年)/Brewers Publications /ISBN:978-1-938469-01-5
Brewers Publicationsはアメリカのブルワーズ・アソシエーション(BA)の出版部門。
この【For the Love of Hops】は、【ブルーイング・エレメンツ・シリーズ】のひとつで、他にmalt 、yeast、 waterの本もある。
栽培や醸造に関してもそれぞれも50ページ近くずつ触れられており、ファイアストーンウォーカーやシエラネバダなど有名な醸造所のビールのレシピも載っている。
栽培家にも醸造家にも役立つ内容だ。
The Hop Grower’s Handbook:The Essential Guide for Sustainable Small-scale Production for Home and Market
Laura Ten Eyck Dietrich Gehring 著(2015年)
タイトルには「Small-Scale」とあるが、日本では中規模に属する栽培地域に最も適した内容の本である。
棚作りに30ページ以上が割いていて、写真も多く参考になる。
また、他書には少ない「病気、害虫、雑草」などについても写真付きで細かく記されている。
THE BOOK OF HOPS
Dan DiSorbo 著:Erik Christiansen 撮影(2022年)/TEN SPEED PRESS/ISBN:978-1-9848-6004-0
今回紹介した洋書の中で最も美しいのがこの1冊である。
重厚なハードカバーや表紙の写真とエンボスは芸術的だ。
掲載されている写真は、輝かしいビールの液色や細かい気泡、ホップの葉脈や溢れ出るルプリンまでが克明に映し出され、もはや「写真集」と呼んで良いクオリティである。
内容も充実していて、ホップとは? から始まり、産地、ホップ栽培のスケジュール、醸造工程でのホップ活用法、各品種とビアスタイルの関係、有名どころのブルワリー紹介などが満載である。
最後に、手前味噌だが私自身の拙著も紹介させていただきたい。
BEER LOVER’S BOOK 一生ものの趣味になるビール入門
藤原ヒロユキ 著(2025年)/リトルモア/ISBN:978-4-89815-603-2
原料や醸造法、ビアスタイルやペアリングなど「ビール全般」について書いた本だが、後半部分で「ホップ栽培」に関する内容が22ページにわたって記載されている。
具体的な内容は、ホップ栽培のために私が移住した【京都府与謝野町】での経験をまとめたもので、ホップ畑の作り方から栽培暦、誘引や害虫や病気に対するケア、収穫のタイミングから保存方法やフレッシュホップビールについてまで事細かく書き記した。
ぜひお読みいただきたい。
【詳しくはこちら】
さて、今回のコラム「ホップにまつわる書籍」いかがだっただろうか?
ホップ栽培家はもとより、醸造家や一般のビールファンにもおすすめの本を揃えてみた。
書籍からもホップを楽しんでもらい、ますますホップ好きになってもらえることを願っている。
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