
ぎらぎらと眩しい太陽が照りつける宮崎の厳しい夏。
九州では連日、最高気温が40℃に迫る厳しい暑さが続いています。
宮崎ひでじビールのホップ栽培を追う連載第3弾。
4月の芽吹き、6月の蔓伸ばしを経て、いよいよ7月の収穫期を迎えました。宮崎県と熊本県の県境、五ヶ瀬町にある五ヶ瀬圃場では、大切に育まれてきたホップが緑のカーテンとなって圃場を包み込んでいます。
ひでじビールにとって今年の夏は、全国からホップーナーが集う収穫祭に加えて、創業30周年の節目を祝う感謝祭などビッグイベントが目白押し。ホップオーナー収穫祭に先立って、今年も前日に圃場での収穫作業が行われました。
※日本産ホップ推進委員会では、年間を通してひでじビールのホップ栽培の軌跡をレポートしています。前回6月10日のレポート(下記)に続き、今回は夏の奮闘と、自然の厳しさと向き合いながら9月に解禁を控えるフレッシュホップビールへの想いをレポートします。
Contents
緑のカーテンを切り拓く!ホップの収穫と秘密兵器の登場
3月27日に実施した五ヶ瀬圃場の株開きから4ヶ月。
7月3日(金)、ひでじビールのスタッフや五ヶ瀬圃場を管理する農家の秋元さんらを含め、合計11名(+取材班2名)で収穫作業が行われました。
圃場の脇に拠点のテントをはって作業の準備をします。
まずは大人の背丈ほどの高さで一気につるをカット。
ホップが少ない下の部分を切り落とします。続いて上部のワイヤーを緩めて棚全体を下ろし、ホップがついた状態のつるごと大きな袋へと収めていきます。
袋いっぱいに詰められたホップは冷蔵トラックで醸造所に運ばれ、翌日の摘み取り作業まで冷蔵保管されます。最後に畝間に落ちていたものや低い位置になっていたホップも回収し、ものの1時間で作業は終了。
行縢の醸造所に戻ると、翌日のホップオーナー収穫祭の準備です。
摘み取り作業場に鎮座していたのは、巨大な木製ケーブルドラムを組み合わせた機械。ドラムの巻取り面には無数の釘が打ち付けられており、異様な存在感を放っています。
これはホップの葉と毱花を選別する摘果機。釘が打ち込まれたドラムが回転し、その隙間にホップのつるを通すと葉っぱが削ぎ落とされる仕組みです。永野社長が構想に約1年を費やしたという秘密兵器!
ブルワー・品質管理責任者:森翔太さん
「社長が一発本番で制作していたようで、試作も一切ない状態で完成させてしまったのですごいです!(笑)。正直ホップの実がバラバラに傷つくのではという心配もありましたが、やってみるときれいに葉とホップが分離されたので、選別という工程が一つ減ったのは大きかったです」
大規模産地で使われているホップの摘果や選別をする専用機械は、中古でも高価でなかなか市場には出回りません。
「ないものは作る」「知恵と工夫でなんとかする」
モノづくりへの情熱と遊び心が生み出したこのオリジナルの摘果機が、ホップ栽培事業に新たな歴史を刻んだ瞬間。ホップの自動選別による省力化は今後の大きな武器になりそうです。
広がるファンの輪。37名のオーナーと祝う「ホップオーナー収穫祭」
翌7月4日(土)は、「ホップオーナー収穫祭」が開催されました。

今年の参加者は37名。
例年より参加者数が増えた要因は、送迎用の自家用マイクロバス導入です。
これまで醸造所へのアクセスは車がメインだったため、ドライバーは飲めないのがネックでした。しかし今年はJR延岡駅から直通のバス移動となり、参加のハードルが下がったことで、「せっかく来たのだから、ビールを心置きなく楽しみたい!」という参加者が増加。遠方からでも移動手段を気にせず参加できたことが、バス導入の確かな効果となりました。
延岡駅に集まったオーナーは、まず自社管理の「上三輪圃場」へ。

同行した宮崎県の地域作物センターの技師が、ホップの大敵であるメイガの痕跡を発見する一幕もありつつ、参加者は森さんの説明を聞きながら、写真撮影や質問をして畑時間を満喫しました。
醸造所での作業には地元のテレビ局や新聞社など、各種メディアの取材陣も入る注目度の高さ。ひでじビールのホップ収穫は延岡の夏の風物詩となっています。
オーナーの顔ぶれは多彩で、毎年関東から訪れる常連組や地元延岡や宮崎、大分、福岡など九州在住者を中心としながらも、島根から来たご夫婦、元気いっぱいのお子様を連れたご家族の姿も。お一人での参加も少なくありません。
ホップオーナーであれば誰でも気兼ねなく参加できます。
途中で今年も激しい夕立に見舞われましたが、「熱中症で倒れるよりマシ!(笑)」と笑い合い作業続行。作業場には冷えた水や清涼飲料水の用意もあり、参加者はさまざまなドリンクにフレッシュホップを浮かべるなどして生ホップの香りや手触りを楽しみました。
メディア掲載やイベントなどのPR活動によって、ホップオーナーの登録数は前年から12名増えて295名に!内訳としては女性比率が4割以上と高く、ご夫婦や友人グループ、家族で申し込むケースもあります。初回から参加している常連オーナーは、毎年改善や工夫を凝らしたこの収穫祭を楽しみにしていると言います。
ホップオーナー:
「年々レベルアップしていて、少しずつ作業が楽になっています。去年はベルトコンベア、今年は『ホップザウルス』(笑)。作業後のBBQやビールはもちろん楽しみですが、摘み取り作業も毎年同じではないので楽しみなんですよね!」








夕方からはいよいよお待ちかねの大BBQ大会。
今年はスタッフも交えた自己紹介タイムなどで、予定時刻をオーバーしながら多いに盛り上がりました。

ここに集まるのは大のビールファン、ひでじファン、地元宮崎ファンです。
自分たちの手で摘み取ったホップがこれからどんなビールになるのか、語り合う時間は留まることを知りません。宴の興奮冷めやらぬまま、参加者とスタッフ一行はバスで延岡市内の直営店「Bar HIMUKA」に移動。
二次会はなんと日付が変わるまで!
熱狂の3日間。30周年感謝祭に見た「ひでじビール愛」
収穫祭の翌週7月10日(金)〜12日(日)は、JR宮崎駅前で「宮崎ひでじビール創業30周年感謝祭」。
会場は連日溢れんばかりの人波で埋め尽くされ、ビールブースには長蛇の列。
多めに用意していた樽が次々と空になっていく光景にスタッフは冷や汗をかきながらも、うれしい悲鳴を上げていたとか。ステージイベントのクイズ大会ではマニアックな難問にもかかわらず、全問正解者が続出。「これはさすがにわからないだろう(笑)」と思っていたスタッフが唸る場面も。
ビールガチャに並ぶ大勢の笑顔や、汗だくになりながら会場内を動き続けるスタッフの生き生きとした表情。30年の歳月の中で醸成されてきたのは、地域と造り手、そして飲み手を結ぶ深い信頼関係そのものでした。
自然相手の試行錯誤。4圃場が示すホップ栽培
ホップオーナー収穫祭や30周年感謝祭の賑やかさの一方で、2026年のホップ栽培実績としては、自然相手の厳しい現実が待っていました。
大ぶりなサイズに手応えを感じていた五ヶ瀬圃場ですが、収穫後の計量結果は昨年比で50kgの減収。しかしブルワーに落胆の色はありません。「収量は減りましたが、昨年よりホップ自体が明らかに大きく育ってくれました。これも貴重な栽培データです」と、前向きな手応えを口にします。
さらに、5月に植え付けをした上三輪A圃場ではザーツの成長が停滞。
原因究明はこれからですが、今年の上三輪A圃場では収穫を見送るという苦しい決断を下すことに。
これも次の一手につながる大切なステップ。対照的に、上三輪B圃場では昨年の欠損を乗り越えて残った36株が力強くつるを伸ばし、8月上旬の収穫に向けて順調な仕上がりを見せています。
延岡市北方にある北方圃場のカスケードは、梅雨明けと同時に一気に成長。
しかし、植え付け1年目と2年目株が混在して成長にばらつきがあるため今年は収穫せず、来年以降の安定収穫に向けて株をしっかり育てることになりました。
失敗も成功もすべてを飲み込みながら、ひでじビールのホップ栽培は次のステップに進みます。
仕込み釜へ注がれる情熱。「宮崎フレッシュホップラガー」は9月解禁!
収穫した生ホップは、すぐに8〜9時間の低温乾燥へ。
長期保存と品質保持のため真空状態で冷凍保管された後、7月23日(木)にフレッシュホップビールの仕込みの日を迎えました。オンライン配信で全国のオーナーたちが見守る中、仕込み釜にホップを投入。
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▲仕込みには五ヶ瀬圃場の管理者である秋本さんの姿も 森翔太さん:
「基本的にはひでじビールらしい【ピルスナー】をベースにレシピ設計しました。自社製麦麦芽と九州産麦芽のキャラクターを立たせるため、オクトーバーフェスト酵母を使用。昨年からホップの使用タイミングや量を少し変更して、乾燥ホップと生ホップをふんだんに使用し、フレッシュホップにしか表現できないグラッシーな香りと生ホップらしい苦みを感じつつ、ピルスナーのクリーンでドリンカブルな味わいのビールをイメージしています」
醸造における今年初の挑戦は「ワールプールホッピング」。
ワールプール中の麦汁の温度を85℃〜90℃にコントロールすることで、ホップに宿る華やかな柑橘系の香気成分を極限まで引き出すという狙いがあります。
オーナー向けの先行リリースは9月上旬、一般向けは9月下旬の予定。
汗を流して試行錯誤を重ねるブルワーと農家、そしてホップの成長を見守ってきた全国のホップオーナー。たくさんの人の熱量が込められた、創業30周年を彩る「宮崎フレッシュホップラガー」のお披露目まであと少し!
2026年ホップオーナー収穫祭、ダイジェスト動画
圃場の収穫作業からホップオーナー収穫祭までをダイジェスト動画におさめました。
写真や言葉では伝えきれない現場の空気感、ひでじビールと仲間たちが過ごした節目の夏。
ぜひ一緒に体感してみてください!
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