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ホップ生産者

ホップを植えよう。〜藤原ヒロユキのホップ栽培日記〜

最近、ホップを育ててみたい。という人が増えてきています。
私の住む与謝野町にも各地から視察の方がお越しになられます。

京都府与謝野町では、2015年からホップ栽培を始め、2018年からは私自身もホップ圃場を開設し本格的にホップを栽培しています。

1年間を通して、私の栽培日記が皆さんのホップ栽培のヒントになれば幸いです。

2023年4月10日@京都与謝野 藤原ヒロユキホップ圃場の様子

ホップってタネを植えるの?

栽培されているホップは雌株がほとんどです。
受粉すると香りが悪くなると考えられているので、雄株は栽培されていません。
つまり、「ホップのタネ」は、基本的に”無い”と考えてください。

ですから、ホップを植える=株分けということです。
ホップは株や苗を植えることからスタートします。

ホップの苗ってどんな形なの?

ホップの苗を見たことがある人は少ないでしょう。
ちなみに、苗と株の違いですが、苗は「根+芽や葉」で、株は「根」といったイメージですので、ホップの場合はほとんどの場合「株」と呼ぶのが正しいでしょう。
ですが、時期によっては目がすでに芽の出ている状態の物もありますので、「苗」で話を進めさせてもらいます。

苗は、概ね3つの形態に分けることができます。

  1. 去年、ツルを伸ばし毬花をつけた株
  2. 今年、芽を出しそうな株の先端部分
  3. 今年、芽を出しそうな株の根元部分

この株はすべて1です。

ホップの苗はどこで入手できるの?

ホップの苗ですが、一般的な園芸店やネットで販売されているものもありますが、購入の際は(ホップには様々な品種があり、種苗法によって守られている品種もあり)慎重に吟味する必要があります。

種苗法は、1991年に改正された国際条約UPOV条約をもとに、日本では1998年に公布された法律で、2020年には「増殖の許諾制」なども加えて改正されています。比較的新しい法律ですので、あまり頓着しない業者や地域もあるので注意が必要ですね。

苗の入手は、現在すでにホップ栽培を行っている農家や農業法人、行政機関に問い合わせてみるのが良いと思います。

京都与謝野ホップ生産者組合
ホップファームKOBAYASHI
ホップジャパン
その他、日ホ推活動に賛同いただいているホップ農家さん一覧

ホップはプランターや鉢でも育つの?

ホップをベランダのプランターや鉢で育てたいという話を聞きます。
圃場の準備が整っていない場合は、鉢植えやプランターに仮植えし手から移植する方法も有りますが、あくまでも緊急処置だとお考えください。

ホップは1年間で根を縦にも横にも1〜2mも広げる植物です。プランターの中は根っこでパンパンになってしまいます。
ホップを鉢やプランターで栽培するのは、トラを小型犬用のゲージに押し込めて飼育する虐待行為と同じです。
育ったとしても、本来のポテンシャルを発揮することができない未熟なホップにすぎません。グリーンカーテンはゴーヤかヘチマでお願いします。

ホップは直植えするべき植物です。

掘り起こされたホップの根。赤白は20cm間隔。

ホップを掘り起こした穴。直径は4m近くになっている。

ホップの苗の植え方は?

苗の側根や一番上の部分は切りそろえておきましょう。
苗の一番上の部分に土が5cm程度かぶるぐらいの深さに、縦に植えてください。

深いと発芽が遅くなったり、来季の株ごしらえが難しくなります。
浅いと芽の根元が露出して折れやすくなります。

植えたあとはどうするの?

ホップは水はけの悪い場所では根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。
とは言え、植えつけてすぐは、適度に水をやってあげてください。
その後は、(水はけが良く、乾燥している場所の場合を除き、)水やりは自然の雨に任せておけば問題ありません。

ホップ栽培を始めようとお考えの方は、すでに始められている先輩農家さんにご連絡し実際に見学させてもらうことをオススメします。ホップを栽培する上での諸注意や手順などを教えてもらいましょう。(農家さんはお忙しいので、くれぐれも失礼のないように気をつけてくださいね)

※このサイトでは都道府県別にホップ栽培者さんのリストが閲覧可能です。

追肥、病気や害虫への対処はまた追って解説していきます。
ではまた、季節が変わるころに…

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ビール評論家・イラストレーター・ホップ生産者

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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