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ホップ畑を作ろう。〜藤原ヒロユキのホップ栽培日記〜

最近、ホップを育ててみたい。という人が増えてきています。私の住む与謝野町にも各地から視察の方がお越しになられます。

京都府与謝野町では、2015年からホップ栽培を始め、2018年からは私自身もホップ圃場を開設し本格的にホップを栽培しています。

1年間を通して、私の栽培日記が皆さんのホップ栽培のヒントになれば幸いです。

2023年3月30日@京都与謝野 藤原ヒロユキホップ圃場の様子

ビールの魂とも呼ばれるホップって、どんな植物なの?

ホップはアサ科のツル性多年生植物です。
雄株と雌株が別れた雌雄異体で、ビールの原料となる房(球果、毬花と呼ばれる)は雌株につきます。
受粉すると、香りが落ちるので雄株は植えず、雌株だけを栽培します。
毎年、春に発芽して、初夏から晩夏に収穫されます。
ツルは、品種によって差はありますが5m〜8mの高さまで伸びます。

どんな気候が良いの?

ホップの名産地は北緯も南緯も35〜55度の範囲に分布しています。
日本では、昔からのホップ産地が東北や北海道なので”寒い地域の植物”と考えられていますが、ホップの成長期にあたる春から夏の日照時間が長いことのほうが重要です。

ちなみに日本の場合、北緯35度線は京都市内や大津市などを通っています。
もっとも、今は北緯35度以下の地域でも育てられており、緯度が低いからと諦める必要はないと考えられています。
毬花が育つ時期は水分を必要としますが、湿気の強すぎる場所ではべと病や白カビ病などの病気に犯され枯れてしまうこともあります。

どんな場所が良いの?

根腐れを起こしやすい植物ですので、水はけの良い土壌が適しています。
水はけの悪い場所にホップ畑を作る場合は、暗渠排水などの工夫が必要です。
地下水位の高いところは避けたいですね。

根が縦にも横にも広がりやすいので、土が固すぎるのもよくありません。
土壌に関しては、一般的な農作物が育つ場所であればそれほど神経質になることはありません。粘土の多い所は厳しいかもしれませんが。
もちろん、どんな場所でも良いということではありませんし、毎年、土壌を整える必要はあります。

具体的には、苦土石灰、鶏糞や牛糞肥料、チッソ・リンサン・カリの化成肥料、ようリンなどを畑に加えないと、良いホップ(香りや苦みの成分が豊富なホップ)には育ちません。

風が強い場所に植えると、葉が風をはらんだ重みで支柱を折ったり、葉擦れによって毬花が痛むことがあるのでお勧めできません。

日当たりの悪い場所もホップ畑には適していません。

ホップ畑の支柱って?

ホップは背の低い品種でも5mは伸びるので、ツルが上がっていく紐とそれを支える支柱が必要です。
支柱は木製、金属製、コンクリート製などありますが、今は金属製が一般的です。

支柱は一定の間隔(通常は3m〜4m)に立て、頂点同士にワイヤーを渡し、そこから紐を垂らしていきます。
ホップのツルはこの紐に巻き上がっていきます。

ツルの上がる紐を垂らすワイヤーを支える支柱は垂直ですが、周囲には斜め60〜65度に傾むけた周囲柱をめぐらせバランスを取る必要があります。
この周囲柱(外柱、脇柱とも呼ばれます)が無いとホップのツルの重みで支柱が中心に向けて傾いたり倒れたりすることがあります。

支柱、周囲柱ともに底には受石を敷き、アンカーを打って安定させます。

育てるからには「ホップの形をした雑草」にならないようにちゃんと育ててあげましょうね。

無責任な人は「植えればなんとかなる」なんて言いますが、ちゃんと育ててあげないとホップが可哀想です。

ではまた、季節が変わるころに…

<アンカー資料>
果樹園用ミニカブト‹MK›アンカー
ワコーアンカー

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ビール評論家・イラストレーター・ホップ生産者

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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