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コラム

藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町 道具編
その⑤「畝(うね)立てに必要な道具」

最近、ホップを栽培してみたい。という人が増えてきています。
私の住む京都府与謝野町にも視察の方が各地からお越しになられます。

そんな方々を含め、ホップ栽培を始めようという人に参考にしていただきたいという願いから、去年2023年は「藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町」という連載コラムを書きました。

その連載コラムに引き続き、今年2024年は、「どのような道具が必要なのか? どのような服装が適切なのか?」というテーマで解説していきたいと思います。

今回は【畝立て】に必要な道具を紹介したいと思います。

再度、畝立てをする

ホップは植え付けの際に畝を作りますが、株開きや株ごしらえなどを行うと畝が低くなっていき、そのうち畝が無くなり平場になってしまいがちです。

そのため、毎年【畝たて】をする必要があります。
この【畝立て】は株ごしらえを終えて株を埋めもどす時に行うか、ある程度ツルが伸びてヒモに巻きついた時に行うのが良いと考えます。

人力ならば平鍬(ひらぐわ)

最もシンプルな【畝立て】は、平鍬を使って人力で行います。

汎用性のある鍬といって良いでしょう。

ホップの株が植えられている列に沿って横から平行に平鍬を入れ、かいた土を平鍬の上に乗せて、株の横に盛り上げていきます。

 

※平鍬で土をすくい寄せて畝を作ります。

平鍬は、柄の長さが合わないと腰を悪くすることがあるので選ぶときは自分に合ったものを選んでください。

畝のない状態。

土をすくって盛り上げます。

反対側からも土をすくって盛り上げます。

畝の完成。

イラストを連続で見るとこんな感じです。

なお、この作業は体力が必要ですし時間もかかりますが、平鍬以外に特別な農業機械(農機)が無くても【畝たて】できるというのがメリットです。
小規模の農地の場合はこの方法がおすすめです。

管理機で畝立て

人力で【畝立て】をするのが大変な広さの圃場の場合、農機を使います。
与謝野の場合は、管理機と呼ばれる農機を使って【畝立て】を行います。

私の場合は地域の農業法人から管理機を借りています。

管理機を株の植えられている列に沿って動かし、掘り起こした土を株側に多く跳ね上げるようにして畝を作ります。

※管理機で畝を立てていきます。

※この動画は、芽吹く前に畝立てを行なった時のものです。

畝立て前。

畝立て後。

腰や肘を痛めないようにケアしましょう

【畝立て】の仕事は平鍬を使う場合はもちろんのこと、管理機を使う場合も「力仕事」になります。

このような力仕事で、腰を痛める方が非常に多いです。
腰痛の持病を持っていない方でも、サポーターを巻くことをお勧めします。

腰痛持ちでなくても、予防のために巻いておいたほうが安心です。

平鍬を使う時は、肘のケアも大切です。

地盤が硬い場合、土を掘る衝撃が肘に伝わり続け「テニス肘」と同じ症状が出ることがあります。
その場合、肘の少し下に「テニス肘用」のサポーターを巻くことで発症を防いだり症状を和らげることができます。

肘の少し下に巻きます。

畝はこまめに作り直す

畝は崩れてくることが多いので定期的に作り直す必要があります。
一度畝ができていれば、こまめに作業することで管理機などの農機を使わなくても、平鍬で行えます。

作物によっては畝が必要ないものもあります。また、不耕起栽培などの考えをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、畝は水はけや通気性を高める効果があり、根腐れをおこすことが多いホップには必要だと考えます。
水はけの悪い土壌では畝を高めにするほうが良いでしょう。

また、ホップは根元が折れやすい品種も多いので、土をかぶせることで保護する役目もあります。
風の強い場所では、しっかりと根元に土を盛るほうが安心です。

では、また!

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ビール評論家・イラストレーター・ホップ生産者

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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