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コラム

藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町 道具編
その①「ホップ栽培に必要なウエア」

最近、ホップを栽培してみたい。という人が増えてきています。
私の住む京都府与謝野町にも視察の方が各地からお越しになられます。

そんな方々を含め、ホップ栽培を始めようという人に参考にしていただきたいという願いから、去年2023年は「藤原ヒロユキのホップ栽培日記 in 与謝野町」という連載コラムを書きました。

その連載コラムに引き続き、今年2024年は、「どのような道具が必要なのか? どのような服装が適切なのか?」というテーマで解説していきたいと思います。

ホップ栽培に適したウエアを用意しよう

ホップ栽培に必要なウエアは、農作業用の服装です。
そんなことは言わずもがななのですが、これが案外わからないものなのです。

実は私も、今までに「買ったけど、使い勝手が悪いので無駄だったなぁ」と思う物があります。
農作業といっても様々で、ホップの作業に適した物を探す必要があります。

ホップ栽培に適したシャツとは?

ホップ栽培に適したシャツとは? どのようなシャツなのでしょう?

私の経験上、最も適したシャツは【襟の有るシャツ】です。
ワークシャツやデニムシャツ、ポロシャツなど襟の有るシャツが最適です。
Tシャツでは、首の後ろが日焼けしてしまうのです。
ワークシャツやデニムシャツ、ポロシャツならば、襟を立てて日焼けを防げます。

さらに、【胸にポケットのあるシャツ】が便利です。
ホップに限らず、農作業用の服装にはポケットが多いほうが何かと便利なのです。
ポロシャツの場合は、胸ポケットの有る物を選びましょう。

ホップ栽培に適した上着とは?

寒さが残る春先は、ワークシャツなどだけでは心もとない季節です。
そんな中、株開きや株ごしらえや紐張りを行わなければならない時、上着を羽織る必要があります。

上着は、【防寒】とともに【防水または撥水効果の有る物】が良いでしょう。
避けたいのはフリース素材です。土やほこりがまとわりつきます。
農作業の上着は【表面がツルツルしている】ほうが便利です。

 

ホップ栽培に適したアンダーウエアは?

アンダーウエアは速乾性の物が良いでしょう。
夏場はもちろんのこと、春先は時に【速乾性】がおすすめです。

春先はまだ寒いので「汗なんかかかないだろ」と思うのは大きな間違いです。
株開きや株ごしらえはかなり重労働で、汗をかくことがしばしばあります。
コットンなど乾きにくいアンダーウエアだと、汗に濡れたまま寒風にさらされ体温が下がります。
この「汗ばんだあとに寒風にさらされる」のが一番辛いので速乾性の素材のアンダーウエアが適しているのです。

ホップ栽培に適したパンツとは?

ホップ栽培に適したパンツとは? どのようなパンツなのでしょう?

まず、丈夫な素材が望ましいです。
ホップの作業は、株開きや株ごしらえ、新芽の間引きなど畑にひざまずくことが多々あります。
膝が汚れたり擦り切れたりするので【丈夫な素材】が良いのです。

しゃがんだり立ったりを繰り返すことも多いので、【伸縮性が有るもの】がありがたいですね。
最近流行りのクライミングパンツやジョガーパンツはとても重宝します。

デザインは【カーゴパンツ(=太ももの横にポケットが付いている)】が望ましいです。
携帯電話を入れたり、脱いだ手袋をサッと入れる時などは太ももの横のポケットがとても便利です。

アームカバーは必要か?

腕を包む【アームカバー】は必要でしょうか?

結論から言えば「半袖のシャツを着ている時は、絶対に必要」です。

ホップ畑に限らず、農作業中は出来るだけ素肌はさらさないようにしましょう。

日焼け防止はもちろんですが、一番恐ろしいのは刺す虫です。
ヤブ蚊程度ならば市販のかゆみ止めでなんとかなりますが、ブユ(地域によってブヨ、ブトとも呼ばれます)やマダニに刺されると、病院に行って薬を処方してもらわないと腫れと痒みが治りません。

さらに、ホップのツルは思いのほかチクチクしているので、腕は必ず覆っておきましょう。
ツルが肌に擦れると、肌の弱い人はミミズ腫れになることもあります。

手袋は必需か?

ホップの作業にかかわらず、農作業に【手袋】は必需品です。
土を触ったり、鎌やハサミなどの刃物を使ったりするので、素手はよろしくありません。

手袋は消耗品と考えてコスパの良いものをまとめ買いしておきたいですね。

軍手やニットの手袋はホップのツルのチクチクに引っかかりやすいので使い勝手が良くないです。
【伸縮性のあるピタッとした手袋】がお勧めです。

棚から張る紐を結ぶ時や、毬花の状態を触って感触を確かめる時には、【親指と人差し指の先が無い手袋】が便利です。
私の場合は、親指と人差し指の先を自分で切っています。

帽子は必要か?

【帽子】は必要でしょうか?

これまた結論から言えば「絶対に必要」です。

まずは日焼け防止のためにかぶるべきです。

また、ホップ畑に立ち並ぶ支柱から頭を守るために帽子は必要です。
冗談のようですが、支柱に頭をぶつけることって結構あるんですよ。

私の場合は、【カウボーイハット】をかぶっています。
つばが広いので日差しを防いでくれますし、頭より先にひさしがポールに当たるので安心です。猫のヒゲのような効果があります。

長靴は必要か?

ホップ畑に限らず、田畑に入る時は【長靴】が必要です。
スニーカーなどの短靴では、必ずと言っていいほど、靴の中に砂や小石が入ります。

長靴は【足首の締まったもの】がおすすめです。
ホップ畑に限らず、農地というものは思いのほか起伏があり、足首が締まっていないと転んだり捻挫することがあります。

脚立に登る場合は、【踵の高い】長靴がベストです。
脚立のステップを踏み外しそうになった時、踵がストッパーになって助かった! と感じた時が幾度かありました。

サングラスは必要か?

【サングラス】が必要かどうかは、賛否の分かれるところでしょう。

与謝野には多くの農業従事者がいますが、サングラスをかけて農作業をしている人はあまり見かけません。

私は、日頃から度の入った眼鏡をかけているのですが、そのレンズを【調光レンズ】にしています。
室内など紫外線の弱い場所では透明ですが、紫外線の強い場所に行くと濃い色に変わるレンズです。

ホップの作業のあと、軽トラに乗ってバックミラーにうつる自分を見て「えっ? 曇りの日なのにこんなに濃くなるの?」と驚く時があります。
晴れていなくても、真夏でなくても紫外線は強いのです。
個人的には、「サングラスは必要」だと言いたいです。

ホップ栽培に必要なウエアとは? まとめ

ホップ栽培に必要なウエアをまとめると、以下のようになります。
・襟のあるシャツ
・表面がツルツルした上着
・速乾性のアンダーウエア
・伸縮性のあるパンツ
・手袋
・アームカバー
・帽子
・長靴
・サングラス

もちろん、個人的な趣味やこだわり、違った考え方を持っている人もいらっしゃると思います。
さらに、気候や土質などによっても事情は変わってくるでしょう。私の見解が全て正しいわけではありません。
服装に関しては『使い勝手が良い』ことが一番ですし、自分自身で色々試して、アジャストしていくことが大切です。

では、また!

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ビール評論家・イラストレーター・ホップ生産者

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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