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コラム

暑さはサマータイム、空梅雨はエンジンポンプで対応?

 

2025年7月13日のホップ畑。

 

ホップの収穫期は続く

与謝野ではホップの収穫が続いています。

最も早い圃場では、6/16(月)から収穫を始めたので、すでに1ヶ月が過ぎようとしています。

ちなみに、私の圃場では6/18(水)から収穫を始めました。

私は、カスケード、チヌーク、コロンバス、イブキを合計200株ほど栽培していて、そのうち約100株を春に植え替えました。

そのため、生育のペースがずれていて、以前からあった株は収穫中ですが、今年植えた株はまだ毛花の状態です。

この毛花が毬花に育つまで30日くらいはかかるので、収穫はまだまだ続くことになります。

まだ毛花が咲いている株もある。

異常が正常?

しかし、今年も暑いですね。

与謝野も本当に暑いです。

与謝野は、京都府の北部に位置し、日本海気候に属します。

冬には、除雪車が出るほど雪が降るので「夏は涼しいんでしょ?」と思われがちですが、本日の最高気温は34℃です。

サイトでチェックしてみましたが、東京の最高気温も34℃でした。

くしくも同じです。
田舎の田園地域だからといって涼しい訳ではありません。苦笑

TVの天気予報では毎日「今日も異常な暑さが」と言っていますが、”異常”というのは”正常”のなかにちょこっとおこるから”異常”なのではないでしょうか?

今や30℃超えが当たり前のように続いているのですから、30度以上が”正常”でしょ。

最高気温が30℃を下回ると「今日は、異常な涼しさになるでしょう」と言うのでしょうか?

暑さ対策は、勝手にサマータイム

もはや、異常が正常になってしまった日本の夏をボヤいていてもしょうがないので、自分で対応策を考えなければなりません。

そのため、私は【勝手にサマータイム】を行なっています。

具体的には、午前4時30分に起床し、5時にはホップ畑に出かけ、草刈りなど「体力を使う仕事」をこの時間帯にやっておきます。

7時に家に戻り、朝食をとったあと、9時にはホップ畑に戻り、正午まで収穫などをして、昼食後(最も暑い時間帯)は屋内でホップの選別やパッキンングを行い、午後4時から6時30分まで再びホップ畑で剪芽や除草などの作業をします。

勝手に時間を朝型にしてしまう。

サマータイムのメリットとデメリット

私に限らず、近隣の農家や農業法人はこのような【サマータイム 】を勝手に導入しています。

サマータイムはアメリカやカナダ、ヨーロッパの一部では採用していますが、日本は導入していません。(アメリカでも一部の州ではおこなわれていません。1948~52年には、日本でも導入されていました)

そのメリットとデメリットはどのようなものなのでしょうか?

ネット検索によると、【メリット】は【エネルギー消費の削減】とのことで、【デメリット】は【生体リズムの変化による睡眠障害】や【システム管理が大変】【交通ダイヤの変更が大変】などが挙げられています。

ま、確かに一長一短あるでしょうが、自然と折りあいながら仕事をせざるを得ない農家としては、太陽が早く昇ればとっとと起きて、涼しいうちにきつい仕事はこなしておいて、暑すぎる時間は屋内でできる仕事をして、涼しくなった夕方にまた外で働く。という流れになっていかざるを得ない訳です。

空梅雨には、エンジンポンプ

気候の変化は、暑さだけではありません。

今年の与謝野は梅雨時期の雨量も例年に比べて少ないものでした。

ホップは根腐れしやすいので、水は自然に任せていたのですが、今年はホップ畑もかなり干からびた感じになりました。

さらに、京都府農業改良普及センターの技師の方がホップ畑を見にきた際「ホップは毛花の時期には水を与えたほうが良い」と指導を受けたので、毛花が咲いている株を中心に水を撒くことにしました。

しかし、各株にジョウロでちょろちょろと水を撒いていくのは大変です。

そこで、給水・排水用のエンジンポンプを購入しました。

2サイクルの小さなポンプで、重さは5kg。ホース付きで47,800円でした。

KOSHINのKM-25SRという2サイクルのエンジンポンプ。

このポンプを使って、農業用水から100リッターのローリータンク(高所作業車に乗せておく)に水を汲み上げます。

ローリータンクに水が溜まったら、高所作業車を畝に沿って動かしながらローリータンクの水をポンプで汲み上げて撒いていくのです。

まず、ポンプで水を汲み上げタンクに溜める。水が溜まったらタンクから汲み上げてホップに撒く。

 

農業用水路から水を汲み上げる。吸い込み口が浮かんでこないように石をかましている。ポンプの中に「呼び水(誘い水ともいう)」を入れるのを忘れないように注意。

 

ノズルを絞ったり開いたりして噴射する水の勢いが調節できる。

この作業、慣れるまではなかなか難しく、いつもシャツからズボンまで水に濡れてしまう有様です。苦笑

つづく

 

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ビール評論家・イラストレーター・ホップ生産者

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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