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ホップ生産者

ホップでつなげる地域の輪「THANKS HOP」は、本格的に圃場でホップを栽培、中津にブルワリーをオープンさせます

大阪を拠点に、ホップ栽培を通じた地域コミュニティづくりに貢献してきた「THANKS HOP(サンクスホップ)」が、今年はさらにパワーアップします。
これまでビルの屋上やメンバー宅など街中で行ってきたホップ栽培に加え、奈良県平群町に圃場を開き本格的にホップ栽培に取り組みます。
さらに収穫したホップを使ったビールを醸造するためのブルワリー開設を進めています。

市民活動から始まったTHANKS HOP

「THANKS HOP」は、2017年から大阪市でホップの活動を行ってきた市民団体「ウメキタホッププロジェクト」と、ブルワリー「ブリューパブセンターポイント」のチームに、緑化事業を行う企業、株式会社NI-WA(東邦レオ株式会社グループ)が仲間となってできました。

フレッシュホップフェストには「ウメキタホッププロジェクト」の2017年から参加しています。(過去の活動記録はコチラ

ビールの原料となるホップをビルの屋上や市民メンバーの自宅で栽培収穫し、ビールを造って楽しむことにとどまらず、”ホップでつながるコミュニティづくり”を行ってきました。
この活動を通じて、困ったときに相談できる仲間ができたり、仲間同士で地域のイベントに参加したりと、互いに支えあえる地域づくりの一助になっています。

2019年モノ・コト・ヒトとの出会いが暮らしを彩る「街のような場」をコンセプトにした、あべのハルカスファームでホップを栽培

「THANKS HOP」が目指すところは、原料から最後の飲み手に至るまで、市民が繋がることでホップとビールに新しい価値とカルチャーを創造すること。

2020年の今年は、ホップやクラフトビールを通してつながった多くの仲間たちと、もっと 「THANKS!」の言葉が飛び交うよう、“環境づくり”に重点を置いています。

 

「Heguri Cultural Farming」で本格的なホップ栽培開始

奈良県生駒郡平群町(へぐり)。大阪の中心地梅田から車で40分ほどの静かな住宅地にホップ圃場「Heguri Cultural Farming」を開きました。

近所には竜田川が流れています。休憩中のスタッフ

都市部周辺では高齢化と過疎化が問題になっており、平群も例外ではありませんでした。
「Heguri Cultural Farming」のある場所は平群在住のメンバーが、地元のために何かしたいと購入していた土地。
縁が重なり、この場所をホップ圃場として活用することになりました

3月、東邦レオのスタッフが中心となり何もなかった土地を耕し、圃場づくり。
4月上旬に、600㎡ほどの広さの圃場に72株のホップを植えました。

力を合わせて棚づくり。25m×3畝に12本の単管を建て込みました。基礎を埋め込む穴掘りは大仕事でした(5月頭)

ホップは順調に育っています。ホップの花(毛花)も咲きました(6月9日)

Heguri Cultural Farmingでは、ホップ棚の脇に夏野菜も栽培。ホップの収穫と同じタイミングでの収穫を予定しています。さらに6月中旬にはホップ畑の横で、田植えをする予定。家族で楽しめる農園になりました。
農作業をすることで運動不足も解消! 夏には収穫した野菜をみんなで食べるのが楽しみです。

キュウリやミニトマト、パクチーなど10種類の野菜が元気に育っています(6月2日)

まちなかでホップ栽培を通した人の輪づくり

平群町で本格的なホップ作りを行いつつ引き続き、まちなかでもホップ栽培の輪が広がっています。
ホップを育てているメンバーで生育状況を共有したり、季節ごとに栽培方法の指導を受けたり、プロの方の意見を聞いたり。
新型コロナウイルスの感染防止のため、大勢で顔を合わせて作業することはできませんが、離れていてもコミュニティの一員であることが実感できます。

6月7日から3日間、山梨県北杜市でホップを栽培されている「ホップ農家小林」の小林吉倫さんを招き、Heguri Cultural Farmingやまちなかの圃場、希望するホップクルー宅を周り、指導を受けました。

昨年に引き続き、近鉄百貨店あべのハルカス本店屋上でのホップ栽培。ホップ植え付け体験会は、新型コロナ感染拡大防止のため中止。スタッフのみで植え付けをしました

大阪市北区中津にあるコミュニティ広場「ハイパー縁側」では、4種類のホップを試験栽培します。街行く人も興味津々の様子(4月25日)

東邦レオ本社ホップの誘引。今年は4階まで誘引してホップのカーテンを作ります。(5月29日)

マンション管理組合さんとのホップ栽培がスタート。子どもも大人も一緒にプランターにお絵かき。マンション住民みんなで乾杯できる日を心待ちにしています(5月26日)

「ホップ農家小林」の小林吉倫さんを招いて、ハイパー縁側でオンライントークセッション(6月8日)

大阪市中津にNakatsu breweryの工事が進行中

昨年までは収穫したホップを「ブリューパブセンターポイント」に持ち込み、一緒にビールの醸造を行っていました。
今年はさらに奈良・大阪発のホップの魅力を伝えるべく、自分たちのブルワリー「Nakatsu brewery」を設立します! 2020年7月オープンを目指し工事が進んでいます。

ブルワリーは大阪府中津にある西田ビルの半地下、コミュニティ広場「ハイパー縁側」に隣接。
1回の仕込みは、200リットル程度と小規模ながら、完成後は生産〜加工〜消費の一連の流れに多様な人が関われるブルワリーになる予定です。

ビールは「ホップでつながるコミュニティ」の考えに共感頂いた方からのOEM醸造を中心に行い、その後は不定期ではありますがその場でも飲めるようになります。
近所で”大阪グルメ”を買い込み「ハイパー縁側」で寛ぎながらビールを飲むのは、さぞかし気持ちが良いでしょう。

プレハブ冷蔵庫の設置作業(5月1日)

醸造責任者の鈴木悟さんにお話をうかがいました。
「私はTHANKS HOPの取組みを通して、沢山の笑顔を見てきました。
皆でホップについて勉強したり、真っ黒に日焼けしながらホップのお世話をしたり、たくさんクラフトビールを飲んで会話したり、そのおかげで様々な地域の方と繋がれたり。
集まる方々に共通しているのは、自分の利益の為に動いている方ではなく、未来の社会を自ら行動して良くしていきたい、と思っている方ばかりです。
そんな、良心を持った人達と成長するホップ畑やブルワリーでありたいと思っています。
世の中にgood newsを届けられるように、未熟者ですが一つ一つステップアップしていきたいと思います!」

心豊かに、自分らしい素敵な人生を送りながらも、働き甲斐・生きがい・やりがいで地域の活力や経済成長に貢献するような新しい価値を創りたい。
そう願うTHANKS HOPは、ホップの栽培からビールの醸造、消費を一貫して行い今年も「ホップの輪」を広げています。

DATA

THANKS HOP(サンクスホップ)
圃場:Heguri Cultural Farming(奈良県生駒郡)
Web:https://www.thanks-hop.com/
栽培面積:600㎡
栽培品種:カスケード

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ビアジャーナリスト/ライター

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。
ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして雑誌『ビール王国』、海外生活情報誌『ドイツニュースダイジェスト』など様々なメディアで執筆。『ビールの図鑑』『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のビールが飲める120店』(エンターブレイン)など。

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