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2019年からホップ栽培を始めた芹田果樹園、実は400年続く老舗農家だった

「浜ぶどう」をご存知でしょうか?「浜ぶどう」とは、横浜で栽培されている大粒種を中心としたブドウの総称で横浜ブランド農産物に認定されています。芹田果樹園では、30年ほど前から「浜ぶどう」を中心に果樹の栽培を行っていますが、昨年から「つる」つながりでホップの栽培を始めています。そこで、園主の芹田賢治さんにお話を伺いました。

農業経験0からのスタート

芹田家は、横浜市港北区高田町で400年続く農家といわれ、先祖代々受け継がれた畑でカリフラワーなど野菜を栽培していました。芹田さんが大学卒業と同時に家業を継いだのは父親が病に倒れたことがきっかけでした。農業の経験がなかったものの、どうせやるなら新しいことに挑戦したいと考え、カリフラワーからブドウ栽培に経営を転換。技術を習得するために講習会に参加し、分からないことがあれば農家の先輩に教えを乞うなどして実地での経験を重ねていったのです。

ブドウ農家がホップ栽培

なぜブドウ農家がホップ栽培を始めたのでしょうか?それは近隣で既にホップ栽培を行っていた「古川原農園」の古川原さんに勧められたことが発端でした。同農園は2016年にホップ栽培を開始、2017年から株式会社横浜ビールが醸造するフレッシュホップビールの原材料としてホップを提供しています。古川原さんは、横浜産ホップを使用した地ビールを地域の人が飲むことができれば、地域のお客様に喜んでもらえることや、町おこし・農業の振興にも役立つと考え、この活動を広げていくための協力者を探していたそうです。そこで、同じく横浜で農作物を栽培していた芹田さんに白羽の矢が立ったのです。芹田さんは古川原さんの考えに賛同し2019年から本格的に栽培を開始することとなりました。

ホップの圃場

ブドウとホップの共通点

ブドウはブドウ科のつる性落葉低木で、ホップはアサ科のつる性多年草といずれも「つる」性の植物です。芹田さんは両者の栽培における共通点に気付きました。どちらも新梢(今年新しく成長した芽のこと)の伸び方がよく似ているため、これまでのブドウ栽培の経験を参考にしながらホップの生育を予測して栽培管理ができることです。さらに日本のブドウ栽培は、十分な日照時間と風通しをよくするためにブドウ棚を作るのですが、ホップ栽培においても棚作りの経験が役立ちました。

カスケードホップ

プロならではの土づくり

ホップは農作物であることから、それを育てるための土づくりも重視されます。芹田果樹園では古川原さんの指導を受けながら有機配合肥料と牛糞堆肥を独自にブレンドして土壌を整えました。肥料の量とタイミングは、ホップの根の周りに生える雑草の成長具合や、葉の色を見ながら行います。雑草にとっても生育しやすい環境であるため、最も力を入れている作業が草むしり。根本は刈り払機が使用できないため全て手作業です。大変な労力になりますが、芹田さんは「忙しい日々の中で無心になれる時間」であると丁寧に行っているそうです。

芹田さんに今後の目標を尋ねたところ、「香りが良いホップを作りたいが、まだ2年目なので修行中です」と答えてくれました。これまでの経験と長年の勘、そして栄養価の高い土壌で育つホップに期待せずにはいられません。

ホップカレンダー

*それぞれ作業を実施した日を記載しています

DATE

【芹田果樹園概要】
住所:横浜市港北区高田町
ウェブサイト:なし
栽培品種:カスケード
栽培面積:直線 12㍍
購入方法:ホップの外販なし

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ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

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