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コラム

アマリロとはどんなホップ?華やかな柑橘香を放つ偶然の産物

アマリロというホップをご存知ですか?アマリロは、アメリカで広く使用されている品種のトップ10に入るホップです。しかし、名前は聞いたことがあっても、どのような特徴があるのか知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、アマリロの歴史や特徴、アマリロを使用したおすすめのビールについて解説していきます。

偶然に発見されたホップ「アマリロ」

アマリロは、1990年、アメリカ合衆国ワシントン州ヤキマにあるヴァージル・ガマシュ農園で偶然に発見されました。ヴァージル・ガマシュ農園は、1913年にヤキマ・バレーで農業を開始。1932年、禁酒法が廃止された後にホップの栽培を始めました。

1990年、当時栽培していたホップ品種「リバティ」の横で、つると葉がわずかに黄色がかった株が見つかります。毬花の中の色もリバティとは異なる鮮やかな黄色で、強い柑橘香がありました。同農園は、この珍しいホップに興味をそそられて、1991年にこの株から挿し木をして育種を始めます。

2003年、この新品種は、VGXP01という名称で登録されて特許を取得。VGXP01とは、VG(Virgil Gamache/ヴァージル・ガマシュ)、XP(Experimental/実験的な)、01(ナンバーワン)という意味で、2代目農園主でさまざまな功績を残したヴァージル・ガマシュ氏の名前がつけられました。

その後、毬花の内部が鮮やかな黄色であることから、スペイン語で黄色を意味する「アマリロ」が付け加えられ、アマリロVGXP01c.v.と改名されたのです。

アマリロの特徴は?

アマリロは、グレープフルーツ、桃、オレンジ、レモンといった香りが特徴のアロマホップ品種です。また、フローラル、スパイシー、シトラスといった風味をつけることもできます。

アマリロは、アメリカで広く使用されているホップ品種で、主にIPAやペールエールなどでよく使用されています。アマリロのみを使用したシングルホップビールのほか、シトラやシムコー、モザイクなどのホップとブレンドしたビールも人気です。

主な栽培地は、ワシントン州ヤキマ、オレゴン州、アイダホ州、ドイツのバイエルン州ニュルンベルクを含む5ヵ所の地域です。指定された農園は、ヴァージル・ガマシュ農園とパートナーシップ契約を締結し、徹底した品質管理のもとで栽培されています。

アマリロを使用した華やかな香りが楽しめるビール

グレープフルーツ、桃、オレンジ、レモンといった香りが特徴のアマリロ。どんなビールを思い浮かべますか?ここからは、アマリロを使用したビールを紹介します。

PUNK IPA

最初に紹介するのは、ブリュードッグのPUNK IPAです。ブリュードックは、2007年、スコットランドでジェームズ・ワットとマーティン・ディッキーが愛犬1匹とともに創業したクラフトビールの醸造所です。「PUNK(常識に逆らう)」をキーワードに、 独創的なビールを生み出しています。

フラッグシップビールであるPUNK IPAは、アマリロをドライホップで利用。そのほかには、チヌーク、アーテナム、シムコー、ネルソンソーヴィン、カスケードなど、さまざまなホップをブレンドしています。

グレープフルーツ、パイナップル、ライチのようなトロピカルフルーツの香りとキャラメルのような香りの後に、スパイシーな苦味が口の中に広がるビールです。

全国のスーパーやビールの専門店で購入が可能です。

BREWDOGのPUNK IPAの缶ビールとグラス

BREWDOGのPUNK IPA

PUNK IPA
アルコール度数:5.4%
公式サイト:https://www.brewdog.jp/lineup/

SESSION IPA

次に紹介するのは、常陸野ネストビールのSESSION IPAです。常陸野ネストビールは、1823年(文政6年)から日本酒をつくり続ける木内酒造のクラフトビールブランドです。

常陸野ネストビールの「ネスト」とは、所在地である茨城県那珂市鴻巣の「巣」(ネスト)から名付けられました。

SESSION IPAは、オレンジのようなフローラルなアロマが特徴。爽やかで口当たりのよいビールです。

全国のスーパーやビールの専門店で購入できます。

常陸野ネストビールのSESSION IPAのビール

常陸野ネストビールのSESSION IPAのビール

SESSION IPA
アルコール度数:4.5%
公式サイト:https://hitachino.cc/beer/

MUSUBI MARU

最後に紹介するのは、2020年から宮城県気仙沼市でビールを醸造しているブラックタイドブリューイングのMUSUBI MARU(むすび丸)です。

MUSUBI MARUは、仙台・宮城観光PRキャラクターのむすび丸とのコラボレーションビールで、アマリロ、シムコー、アイダホ7というホップを使用しています。

トロピカルフルーツを連想させるジューシーな味わいのIPAです。

ブラックタイドブリューイングのMUSUBI MARU

ブラックタイドブリューイングのMUSUBI MARU

MUSUBI MARU
アルコール度数:6.5%
公式サイト:https://blacktidebrewing.com/beers/

アマリロのアロマを体感し、お気に入りの一杯を見つけよう

アマリロは、グレープフルーツ、桃、オレンジ、レモンといった香りが特徴です。アマリロのみを使用したシングルホップビールは、アマリロ本来のアロマとフレーバーが楽しめます。

一方で、他のホップとブレンドしているビールも多く、組み合わせるホップによってさまざまなアロマとフレーバーを作り出せるのもアマリロの魅力です。ホップに注目して味わってみると、自分の好みやビールのトレンドが分かり、また違った楽しみ方ができるのです。

実際にアマリロをテイスティングしてみて、お気に入りのフレーバーを見つけてみてはいかがでしょうか。

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ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

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