TOP
コラム

カスケードとは?アメリカンペールエールの歴史はここから始まった

カスケードという品種のホップをご存知でしょうか?アメリカンペールエールが好きなら、知らず知らずのうちにカスケードを使用したビールを飲んでいるかもしれません。カスケードは、ハーバル、スパイシー、グラッシー、フローラル、シトラスといったキャラクターがあり、バランスのとれた苦味が特徴です。

アメリカのクラフトビールに多大なる影響を与えたカスケード。この記事では、カスケードの歴史や特徴、また国内で入手できるカスケードを使用したビールを紹介します。

カスケードの由来とは?

カスケードのホップ、緑色の細長い円錐形をしている

カスケードのホップ

カスケードとは、1956年から育種が始まり、1972年にリリースされたアメリカ原産のアロマホップ品種です。オレゴン州立大学のアメリカ合衆国農務省育種プログラムで、スタンリー・ネルソン・ブルックス博士とジャック・ホーナー博士によって開発されました。

ホップ品種の系統は、イギリス産のファグルとロシア産のセレブリアンカ、および不特定の雄ホップ品種をかけ合わせて交配したもの。形状は、濃い緑色で細長い円錐の形をしています。

カスケードの名前は、北カリフォルニアからカナダのブリティッシュコロンビア州まで続くカスケード山脈にちなんで命名されました。

カスケードの特徴は?

カスケードは、ハーバル、スパイシー、グラッシー、フローラル、シトラスといったキャラクターがあり、バランスのとれた苦味が特徴です。アロマホップ品種として、主にビールの香りづけに使われています。カスケードは、アメリカを代表するホップ品種の1つです。

カスケードが初めて商業用のビールとして使われたのは、アンカーブリューイングのリバティーエールで、1975年のことでした。

アンカーブリューイングのリバティーエールなどのビール

2018年にアンカーブリューイングを訪問した時に飲んだリバティーエールとその他のビール

その後、1980年にシエラネバダブリューイングのシエラネバダペールエールに使われたことで、アメリカンペールエールを象徴するホップとしての地位を確立しました。

アメリカ国内では、ワシントン州のヤキマバレーやオレゴン州のウィラメットバレー、アイダホ州のトレジャーバレーなどが有名な栽培地です。 

カスケードを使ったビールを紹介

カスケードを使用したビールには、さまざまな種類があります。ハーバル、スパイシー、グラッシー、フローラル、シトラスといったキャラクターがあるビールといえば、どのビールを思い出しますか?

シエラネバダペールエール

最初に紹介したいビールは、1980年にリリースされたシエラネバダブリューイングのシエラネバダペールエールです。シエラネバダブリューイングは、ケン・グロスマン氏が1980年にカリフォルニア州の学園都市であるチコで創業した醸造所です。

シエラネバダペールエールは、ブルワリーを代表するフラッグシップビールで、松や柑橘系のホップの香りと爽やかな苦みが特徴です。アメリカンペールエールの元祖ともいえるこのシエラネバダペールエールがクラフトビールの人気を確固たるものにしました。

シエラネバダブリューイングのシエラネバダペールエールの写真

シエラネバダブリューイングのシエラネバダペールエール

シエラネバダペールエール
アルコール度数:5.6%
公式サイト:
https://www.antenna-america.com/products/b041-b12001

よなよなエール

2本目に紹介するのは、ヤッホーブルーイングのよなよなエールです。長野県軽井沢町で創業したエールビール専門の醸造所で、よなよなエールやインドの青鬼など、オリジナリティの高いネーミングで有名です。

よなよなエールは、香り高く華やかな味わいを夜な夜な楽しんでほしいという願いを込めて1997年に誕生しました。カスケードの柑橘類を思わせるフレッシュな香りとモルトの甘みが特徴です。

全国のスーパーやコンビニエンスストアで購入が可能です。

ヤッホーブルーイングのよなよなエールの缶とグラスに入ったビールの写真

ヤッホーブルーイングのよなよなエール

よなよなエール
アルコール度数:5.5%
公式サイト:https://yonasato.com/ec/product/detail/yonayonaale/

ルプリンネクター

最後に紹介するのは、ワイマーケットブルーイングのルプリンネクターです。ワイマーケットブルーイングは、愛知県名古屋市で2014年からビールの醸造を開始しました。ブルワリーの名前は、名古屋駅前で明治時代から続く「柳橋中央卸売市場」に由来しています。

ルプリンネクターは、ネクターのような柔らかい口当たりとジューシーな飲み口のニューイングランドダブルIPA。カスケードを含む4種類のホップを使用しています。

全国のスーパーやビールの専門店で購入が可能です。

ワイマーケットブルーイングのルプリンネクターの缶とグラスに入ったビールの写真

ワイマーケットブルーイングのルプリンネクター

ルプリンネクター
アルコール度数:7.5%
公式サイト:
https://ymarket.craftbeer.nagoya/?pid=152507874

アメリカンペールエールの歴史に想いをはせて

2023年現在、ホップの品種は世界で300種類以上あるといわれています。カスケードが商業的に利用される以前は、ヨーロッパのホップが主流でした。しかし、カスケードの誕生により、アメリカンホップの新しい時代が始まりました。

カスケードは、アメリカのクラフトビールシーンに革命を起こし、アメリカンペールエールの歴史を創ったといっても過言ではありません。

そんな歴史に想いをはせて、偉大なホップ、カスケードを使用したビールを改めて味わってみてはいかがでしょうか。

アバター画像
ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

この著者の他の記事