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コラム

MURAKAMI SEVENとは?ユニークな香りを持つ唯一無二のホップ

MURAKAMI SEVEN(ムラカミセブン)は、キリンビールが開発した日本産ホップ品種のひとつです。1991年に交配を開始し、一度は廃棄処分されそうになった過去を持ちながらもその後復活を果たし、唯一無二の存在となったホップ品種。

この記事では、MURAKAMI SEVENが持つユニークな香りや、歴史、特徴、同ホップを使用したオススメのビールについて詳しく紹介します。

MURAKAMI SEVENの開発秘話

MURAKAMI SEVENは、1991年にキリンビールが独自に交配を開始した日本産ホップ品種です。当初、このホップは「江刺7号」と呼ばれ、岩手県奥州市江刺区のキリンビール岩手ホップ管理センターの7番目の畝に生育していました。

開発者は、キリンビールで長年ホップの研究を行ってきたホップ博士の村上敦司さん。MURAKAMI SEVENの名前は、「MURAKAMI」は彼の名前から、「SEVEN」は7番目の畝にあったことから付けられました。

MURAKAMI SEVENのホップ

MURAKAMI SEVENのホップ
写真提供:キリンビール株式会社仙台工場岩手ホップ管理センター

このホップの歴史には興味深いエピソードがあります。1990年代の日本のビール市場では苦味が重視され、ホップの香りはあまり注目されていませんでした。また、安価な海外産のホップが市場に入ってきたため、キリンビールでは新しい日本産ホップを開発する難しさとコスト競争力の低さもあり、多くのホップ品種が廃棄されたのです。江刺7号もそのひとつでしたが、村上さんの尽力によって栽培が続けられました。

その後、2011年の東日本大震災を機に、江刺7号が再び脚光を浴びることになります。村上さんは自身の出身地である岩手県への思いから、地元のみんなを笑顔にできることはないかと模索しました。そして、自分にはホップしかないと考え、江刺7号を東北で量産化させることを決意したのです。

地道な努力が実り、江刺7号をMURAKAMI SEVENとして2016年に商標登録し、同ホップを使用したMURAKAMI SEVEN Fresh Hop 2016のビールの販売にまでこぎつけました。

MURAKAMI SEVENの特徴とは?

MURAKAMI SEVENの最も注目すべき特徴は、そのユニークな香りです。このホップは、いちじく、みかん、マスカットのようなフルーティーで爽やかな香りを持ち、他のホップ品種とは一線を画しています。

さらに、MURAKAMI SEVENは、草丈と側枝の伸びが短いため手入れがしやすいうえ、ホップの収量が比較的多い品種とされています。国内のホップ農家が高齢化と担い手不足のため減少している中で、他の日本産ホップに比べて農作業の負荷が軽減される品種としても期待されています。

MURAKAMI SEVENの苗木が栽培されている畑の様子

MURAKAMI SEVENの苗木
写真提供:キリンビール株式会社仙台工場岩手ホップ管理センター

主な栽培地は、岩手県の遠野市ですが、今でも岩手県奥州市江刺区のホップ畑にはMURAKAMI SEVENのオリジナルの苗があります。

MURAKAMI SEVENを使ったビール

MURAKAMI SEVENは、栽培面積が少ないため、まだまだ希少な日本産ホップですが、2023年10月24日に新商品が発売されます。ここでは、MURAKAMI SEVENを使用した2種類のビールを紹介します。

SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>

最初に紹介するのは、キリンビールの「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」です。日本産のMURAKAMI SEVENやIBUKI、海外産のホップ品種を組み合わせて造られたビールで、爽やかな柑橘のような香りと心地よい苦味、すっきりとした後味が特徴です。

全国のスーパーやコンビニエンスストアで購入が可能です。

IBUKIについては、下記の記事をご覧ください。
日本産ホップIBUKIとは?特徴とIBUKIを使ったビールを紹介

スプリングバレーブルワリーのJAPAN ALEの缶ビールとグラス

SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>

SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>
アルコール度数:6%
公式サイト:https://www.springvalleybrewery.jp/beer/

DAIKANYAMA IPA

2種類目は、同じく、SPRING VALLEYのDAIKANYAMA IPA(ダイカンヤマ アイピーエー)です。DAIKANYAMA IPAは、SPRING VALLEY東京とSPRING VALLEY京都で飲むことができます。

イチジクやみかんのような香りとしっかりした苦味がある口当たりが良いビールです。
*期間限定ビールですので、事前に公式サイトでご確認ください。

SPRING VALLEY DAIKANYAMA IPA
アルコール度数:6.5%
公式サイト:https://www.springvalleybrewery.jp/beer/brewery_detail.html?id=newdaikanyamaipa

ユニークな香りの特徴を持つMURAKAMI SEVEN

MURAKAMI SEVENは、村上さんのホップにかける情熱と愛情が込められたホップです。このユニークな香りと歴史的な経緯に思いを馳せながら、MURAKAMI SEVENを使用したビールを味わってみてはいかがでしょうか。

MURAKAMI SEVENのホップ畑

MURAKAMI SEVENのホップ畑
写真提供:キリンビール株式会社仙台工場岩手ホップ管理センター

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ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

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