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コラム

日本産ホップIBUKIとは?特徴とIBUKIを使ったビールを紹介

「IBUKI」という日本産ホップをご存知ですか?IBUKIは、キリン2号とかいこがねの2種類のホップを総称したブランドです。

この記事では、日本産ホップブランドのIBUKIの歴史と特徴を解説します。記事の最後にIBUKIを使用したビールを紹介しています。毎年恒例の限定ビールも出てきますので、飲んだことがある人もない人も要チェックです!

IBUKIはキリン2号とかいこがねの2種類を総称したブランド

日本産ホップブランドIBUKI

日本産ホップブランドIBUKIの毬花

IBUKIとは、信州早生を品種改良した「キリン2号」とその変種である「かいこがね」の2種類の日本産ホップを総称したブランド名です。岩手県遠野市や秋田県横手市が主な産地で、キリンビールが契約栽培しています。

キリン2号は、1953年から1954年にかけてキリンビールが信州早生をもとに開発した品種です。

かいこがねは、キリン2号が突然変異したホップの品種で、1957年に山梨県で発見されました。名称は、かつての地名である甲斐国の「かい」と、突然変異により葉の色が黄金「こがね」色に見えたことに由来しています。その後、かいこがねは改良を重ねながら、1980年に第1号の日本産ホップとして品種登録されました。

信州早生については、下記の記事をご覧ください。
「信州早生」を詳しく解説!100年以上の歴史を持つホップ

IBUKIの特徴は?

IBUKIの毬花を半分に割った様子

IBUKIの毬花を半分に割った様子

IBUKIは、アロマホップとしてビールの香りづけに使用されています。柑橘や花を連想させる香りと爽やかな苦味が特徴です。

キリン2号とかいこがねの2品種を総称したブランド名であるIBUKI。どちらも信州早生という品種の変異株で、収穫後のホップの品質は同じであるため区別をしていません。

では違いは何かというと、葉の色と収穫する時期が異なる点です。

一般的にホップの葉は緑色ですが、かいこがねの葉は、生育初期が黄色です。その後、収穫に近づくにつれて濃い緑色に変化していきます。

また、かいこがねを信州早生と比較すると、つるの高さは低く、長さも相対的に短いという特徴があります。つる1本当たりの毬花がなる数は、信州早生よりも多くなりますが、大きさは小ぶりになり、収穫時期も少し遅くなります。

しかし、ビールの香りに影響する香気成分や苦味のもととなる樹脂含量は同程度であるため2種類の品種をIBUKIと呼んでいます。

海外でも同様に、チェコのホップ品種である「ザーツ」や、スロベニアの「スーパーシチリアン」も3種類のホップでひとつのブランドになっています。

IBUKIを使ったビールとは?

IBUKIといえば、このビールを思い出す人が多いのではないでしょうか?ここからは、IBUKIを使用したビールを紹介します。

一番搾りとれたてホップ生ビール

2022年に発売された一番搾りとれたてホップ生ビール

2022年に発売された一番搾りとれたてホップ生ビール

まず最初に紹介するのが、2004年から販売されているキリンビールの一番搾りとれたてホップ生ビールです。岩手県遠野市で収穫したIBUKIを水分を含んだ生の状態で急速冷結させたものを使用しています。

一般的に、ホップは収穫後、乾燥させてペレット状にしたものを使用しますが、一番搾りとれたてホップ生ビールは、生のまま凍結したホップを使用するため、青草や花を連想させるフローラルな香りが楽しめます。

このビールは、11月頃発売予定です。詳しくはキリンビールの公式サイトでご確認ください。

一番搾りとれたてホップ生ビール
アルコール度数:5%
公式サイトhttps://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/ichiban/

SPRING VALLEY 豊潤<496>

IBUKIを含む5種類のホップを使用したキリンビールのSPRING VALLEY 豊潤<496>

次に紹介するのが、キリンビールのSPRING VALLEY 豊潤<496>です。2022年にリニューアルを行い、新たに日本産ホップブランドのIBUKIを加え、5種類のホップを使用しています。上品で穏やかな香りが特徴です。

このビールは、全国のスーパーやコンビニエンスストアで購入が可能です。

SPRING VALLEY 豊潤<496>
アルコール度数:6%
公式サイトhttps://www.springvalleybrewery.jp/beer/

遠野麦酒ZUMONA ヴァイツェン

IBUKIを使用した遠野麦酒ZUMONA ヴァイツェン

IBUKIを使用した遠野麦酒ZUMONA ヴァイツェン

3本目に紹介するのは、岩手県遠野市にある遠野麦酒ZUMONA ヴァイツェンです。1789年創業の上閉伊酒造という酒造会社が1999年からビールの醸造を開始しました。

遠野麦酒ZUMONAは、遠野産のIBUKIをふんだんに使用したさまざまなビアスタイルのビールを醸造しています。写真のヴァイツェン以外に、ピルスナーやアルト、ヘイジーIPAなどありますので、ぜひお好きなビアスタイルでIBUKIを味わってみてください。

遠野麦酒ZUMONA ヴァイツェン
アルコール度数:5%
公式サイトhttps://kamihei-shuzo.jp/zumonatonobeerc58/

ESB

最後は、遠野醸造のESBです。遠野醸造は、ホップの栽培を始めて60年目を迎える岩手県遠野の地を拠点にし、2018年から醸造を開始。遠野に新しいビール文化を創造するために、ビールの醸造以外にもさまざまな活動をしています。

ESBは、エクストラ・ストロング・ビターの略で、少しアルコール度数が高めです。温度によってビールの香りと味わいが変化するので、ゆっくり楽しみたいビールです。

遠野醸造ESB
アルコール度数:6%
公式サイトhttps://tonobrewing.store/

IBUKIを使用したビールを飲んでみよう!

IBUKIを使ったビール

2019年に参加した遠野ホップ収穫祭で飲んだIBUKIを使ったビール

IBUKIを使用したビールはさまざまな種類があります。シングルホップといってIBUKIだけを使用したビールもありますので、試してみてはいかがでしょうか。

また、フレッシュなIBUKIの香りを楽しみたいなら、その年に収穫されるフレッシュホップビールを飲んでみるのもオススメです。

日本産ホップブレンドのIBUKIを存分に味わってください!

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ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

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