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コラム

ソラチエースとは?世界に誇れる日本産ホップを徹底解明!

「ソラチエース」というホップをご存じですか?ソラチエースは、1984年にサッポロビールが北海道空知郡上富良野で開発した日本産のホップ品種です。苦味が強く、ヒノキやレモングラスを連想させる華やかな香りが特徴です。

この記事では、ソラチエースの歴史、特徴を解説します。記事の後半には、スーパーやコンビニで手軽に買えるソラチエースを使用したビールを紹介しています。ぜひソラチエースならではの香りを楽しんでください。

日本生まれでアメリカ育ちのソラチエースとはどんなホップ?

ソラチエースの苗

ソラチエースの苗

ソラチエースは、1984年に北海道空知郡上富良野町でサッポロビールが開発したホップ品種です。日本産のホップなのに、あまり聞いたことがないと感じた方がいるかもしれません。

ソラチエースの歴史を紐解くと、1970年代にまで遡ります。サッポロビールの研究員の森義忠さんが、当時日本では注目されていなかったアロマホップ(ビールの醸造で香り付けを目的として使用されるホップ)を開発するために様々な特徴を持つホップの組み合わせを研究していました。その結果、1977年に誕生したのが、コードネーム「75K-B6-5」と名付けられたソラチエースの原型です。

75K-B6-5は、同研究員の荒井康則さんが、自社のホップ園で大切に育種し、1984年9月5日に品種登録まで手がけました。しかし、当時日本では苦味の成分を増やそうとしていた時代で、個性が強いソラチエースはあまり受け入れられませんでした。

アメリカに持ち込まれることになったソラチエース

日本のビール事情に合わなかったソラチエースは、1994年にアメリカに渡ります。自社の研究員である糸賀裕さんが、このまま廃棄するには忍びないとアメリカのオレゴン州立大学にソラチエースを持ち込んだのです。当時、アメリカではクラフトビールのブームが起きていましたが、ソラチエースがすぐに脚光を浴びることはありませんでした。

その後、2002年にワシントン州ヤキマ地方でホップ農場を営むダレン・ガメシュさんがその良さを見出します。ダレンさんがアメリカのブルワリーにソラチエースを紹介したところ、一部のクラフトビールのブルワーやビール愛好家の間で評価され、独自の風味を持つホップとして注目されるようになりました。

ソラチエースの特徴は?

ソラチエースは、苦みが強くヒノキやレモングラスのような独特の香りが特徴です。日本で開発されましたが、ソラチエースは国内でビールの醸造に利用される機会がなく栽培面積は限られていました。

しかし、2013年にサッポロビールがソラチエースを使用したビールを開発したことをきっかけに2020年から北海道の上富良野でソラチエースの栽培を開始しました。

2023年には、上富良野以外に青森県の三戸町、田子町、岩手県の岩手町、軽米町でもソラチエースを栽培しています。2022年の国内の収穫量は年間350㎏ですが、3年後に6,000㎏を目指しています。

岩手県の軽米町にあるソラチエースの圃場

岩手県の軽米町にあるソラチエースの圃場

和食のみならずアジアン料理に合う!ソラチエースを使用したビール

ソラチエースは、ヒノキやレモングラス、ライムのような独特の香りが特徴です。個性豊かな香りですが、意外にもお刺身や寿司などの魚料理に合います。また、ベトナム料理やタイ料理など、ライムやレモンを使った料理に合わせても香りの相乗効果が楽しめます。

今回は、ソラチエースを使用したビールとペアリングできる料理を紹介していきます。

SORACHI 1984

最初に紹介するのが、サッポロビールのSORACHI 1984です。SORACHI 1984は、ヒノキやレモングラスのような華やかな香りと、後味にハチミツやココナッツのような甘い余韻が残る味わいです。ビアスタイルでいうと、ゴールデンエールに当たります。

SORACHI 1984にオススメのペアリングは、マンゴーやクリームチーズ、お刺身、ジンギスカンです。またベトナム料理のフォーとの相性も抜群です!

サッポロビールSORACHI1984の缶ビールとグラス

サッポロビールSORACHI1984

SORACHI 1984
アルコール度数:5.5%
公式サイト:https://www.sapporobeer.jp/sorachi1984/

ブルックリンソラチエース

2本目はブルックリンブルワリーのブルックリンソラチエースです。ソラチエースを使用したセゾンスタイルのエールビール。ブルックリンソラチエースは、柑橘系の香り、レモングラスやレモン、ハーブでディルを思わせる味わいがあります。

ブルックリンソラチエースには、魚料理やお寿司がよく合います。ソラチエースの爽やかなハーブの風味が、タイ料理やカレーにもマッチします。

ブルックリンブルワリーのブルックリンソラチエースの缶ビールとグラスに注いだビール

ブルックリンブルワリーのブルックリンソラチエース

ブルックリンソラチエース
アルコール度数:7%
公式サイト:http://www.brooklynbrewery.jp/beers/brooklynsorachiace/

常陸野ネストビール ニッポニア

3本目は、常陸野ネストビール ニッポニアです。2022年にリニューアルされて、インディアペールラガーというビアスタイルに変わりました。茨城県産の金子ゴールデン麦芽と山田錦を使用しています。

ニッポニアは、ソラチエースの爽やかな柑橘の香りと麦芽の深いコク、米の芳醇な旨味が楽しめます。

常陸野ネストビール ニッポニア
アルコール度数:6%
公式サイト:https://hitachino.cc/beer/index.html

世界に誇れる日本産ホップのソラチエース

ソラチエースは、日本で開発されたホップの品種です。しかし、国内における知名度はまだあまり高くありません。一方で、クラフトビールが盛り上がっているアメリカやヨーロッパでは、ソラチエースが持つ個性的な特徴が高く評価されています。

日本が世界に誇れるソラチエースをぜひ一度試してみてください!

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ビアジャーナリスト

Hop Evangelist、Beer Judge、Beer Taster
ホップでビールを選ぶ時代に!を合言葉に活動中
全国各地のホップ畑にホップを摘みに行くほどのホップ好き
お気に入りのホップはシトラです♪

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