ホップの水蒸気蒸留とは?ヤッホーブルーイングのホップ活用方法を紹介
2023年6月17日(土)、長野県佐久市にあるヤッホーブルーイングの佐久醸造所にて、ホップの水蒸気蒸留についてのレクチャーが開催されました。
ホップの水蒸気蒸留とは、ホップを蒸留釜に入れて水蒸気蒸留させ、その香りを芳香水として抽出するという方法。抽出した液体はヤッホーブルーイングが2021年のフレッシュホップビールに使用しており、その方法を日本産ホップセミナー2022夏でも発表しています。
ヤッホーブルーイングの日本産ホップセミナー2022夏での発表の詳細は下記からご覧ください。
日本産ホップセミナー2022夏
今回は、ホップの水蒸気蒸留についてどのような流れで行うのか、レクチャーでの発表にもとづいて紹介します。
ヤッホーブルーイングの水蒸気蒸留とは?
今回、ホップの水蒸気蒸留について教えてくれたのは、ヤッホーブルーイング醸造ユニットのピーピーさん。まずは、蒸留するホップと蒸留釜の準備です。
今回使用したホップはビタリングホップのガレナ。凍っていたホップを少し砕いてネットに入れます。
続いては、蒸留釜のセッティング。
この下には水を入れておきます。この水が火で熱せられて、ホップの成分とともに蒸留されます。
そのため、ホップにできるだけ蒸気があたるように、できるだけホップを広げて敷き詰めます。
ホップを敷き詰めて蓋をしたら準備完了。火をつけてしばらく待ちます。水蒸気が上っていって、ホップの香りがついた水が下の管から流れてくる仕組みです。
抽出タイミングによって芳香水の香りが変化
ヤッホーブルーイングでは、1回の蒸留でホップ8キログラムと水15リットルを使用して、6リットルほどの芳香水がとれるそうです。蒸留時間は90分から120分。
いろいろと試した結果、このくらいの量が最も効率がよかったそうで、ホップの量が多いとうまく抽出できず、少ないと芳香水の濃度が低くなって使いにくいとのこと。
そんな話を聞きながら待っていると、徐々に蒸留水が抽出されてきました。
今回は、6回ほどのタイミングにわけて、香りと味を比べてみました。
「1」と書いてあるのが最初に抽出された芳香水。最初の芳香水はザラザラした印象があり、尖った香りもあるので、捨ててしまうことが多いそうです。実際に香りを嗅いでみたら、青臭さが強い印象でした。
2番目以降になると、フルーティーさが少し出てくる感じがします。今回使用したのはビタリングホップのガレナだったので、そこまでフルーティーさは強く感じませんでしたが、カスケードのようなアロマホップであれば、フルーティーさがもっと強く感じられるそうです。
最初と最後の芳香水の香りを比べてみたのですが、明らかに香りは違います。青臭い香りからフルーティーな香りへと変化していく様子がとても興味深く感じられました。
最後のほうは、やや煙い印象の香りがついてくるので、そうなったら蒸留は終了です。蒸留後のホップは、蒸留前に比べると緑色が薄くなっています。
今回はルプリンもやや黄色がかった感じが残っていましたが、しっかり抽出できるともっと白っぽくなるとのこと。新しいホップの使い方を体験させていただきました。
日本産ホップセミナー2023夏でも水蒸気蒸留を解説
ヤッホーブルーイングでこの芳香水をビール醸造に使う場合、ビールに対して芳香水0.75%くらいだそうです。200リットルのビールであれば、芳香水は150ミリリットル。意外と少ない量で十分で、これ以上になるといかにも「作られた」香りのような印象になってしまうとのこと。
ただし、どのビールでもこの割合がベストというわけではなく、ビールのコンセプトやホップの種類によっても異なります。ホップの水蒸気蒸留は、大掛かりな設備が必要になるわけでもなく、比較的取り組みやすい方法だと思いますので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
なお、2023年6月30日(金)にオンラインで開催される日本産ホップセミナー2023夏では、ヤッホーブルーイングの「フレッシュホップ水蒸気蒸留の全貌」を紹介します。映像を交えて、水蒸気蒸留の意義と方法をレクチャー。その他、「成功事例から見るブルワリーと飲食店の“おいしい関係”」などについてのトークも行います。
日本産ホップセミナー2023夏にもぜひご参加ください。
(※セミナーは終了しました)
下記のリンクよりセミナーリポートをご覧いただけます。
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