ホップ栽培が難しいといわれる島根県でホップが収穫できる秘訣
ホップ栽培は、日射量が多く冷涼な気候が適していると言われています。世界的なホップの生産地は緯度35~55度に分布しており、日本では北緯40度前後の東北地方で多く栽培されています。松江ビアへるん(島根ビール株式会社)は、栽培が難しいとされる温暖な山陰地方でビール醸造のかたわら2010年からホップ栽培を行っています。
紆余曲折を経て10年間継続できた秘訣は、失敗を恐れずにやってみようと挑戦する精神にありました。
なぜホップ栽培を始めたのか?
「この地域でホップが育つかどうか分からなかったのですが、やってみようと思いホップ栽培を始めました。数種類のホップを育てた中で、枯れずに生き残った品種が『ゼウス』でした。」
代表取締役の矢野学社長は、当時を振り返ってこう話してくれました。
2010年からホップ栽培を開始し、現在は近隣農家の支援を受けて島根県内の数カ所で栽培しています。品種はゼウス・センテニアル・チヌークの3種類を育てており、その中で特に注目したいホップが「ゼウス」です。
ゼウスとは、カスケードの交配元となったアメリカ品種のホップで、しっかりとした苦味と清々しい緑の香りが特徴です。
このホップを育てたいと思った理由は、神話の国といわれる島根県で神様の名前を持つホップ「ゼウス」を育てることは親和性があると感じたから、また国内で同ホップを使用している醸造所が少なかったからです。
毎年少しずつ収穫量を増やし、昨年は100%島根県産の麦芽と生ホップ「ゼウス」を使用した「ゼウス・ビター」を醸造しました。販売直後に売り切れるほどの人気を誇っています。
ホップカレンダー 春に行う作業とは
4月初旬に圃場の手入れを行いました。昨年敷いた防草シートを取り去る作業から開始。防草シートは、地面に敷いておくことで雑草の光合成を防ぎ、成長を妨げる効果があります。
次は草取りです。防草シートが敷かれていない部分の雑草を除去していきます。骨の折れる仕事です。
圃場は粘土質系の土であるため手入れに苦労を要します。耕した土の中からホップ株を発見。根株から新芽が出ており、順調に育っていることが確認できました。
さらに、ホップの畝の周辺を防草シートで囲み、雑草が生えてくる場所が限定的になるように整えました。
ビールを醸造しながらホップ栽培を行うことは、時間・体力的にも大変なのですが、工場にこもるだけでは感じることのできない風土・自然・季節などが楽しめ、そこから新しいインスピレーションを得るきっかけになっているそうです。次の挑戦が始まる兆しを感じます。
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【圃場】
所在地:島根県松江市黒田町509-1 松江堀川地ビール館花壇・その他数カ所
管理者:島根ビール株式会社 代表取締役 矢野学
http://www.shimane-beer.co.jp/index.html
栽培年数:10年目
栽培品種:ゼウス、センテニアル、チヌーク
栽培面積:220㎡
収穫目標量:30kg(生ホップ重量)
*ホップの販売は行っていません。
【島根ビール株式会社】
住所:島根県松江市黒田町509-1(松江堀川・地ビール館内)
営業時間:9:00~17:00(土・日曜を除く)平日の祝日は営業
http://www.shimane-beer.co.jp/index.html
【松江堀川地ビール館】
住所:島根県松江市黒田町509-1
営業時間:年中無休
物産館・地ビールカウンター/9:00~17:30
ビアレストラン/11:00~17:30*ラストオーダー16:30
https://www.ichibata.co.jp/jibeer/index.html
*現在は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休館しています。詳しくはHPでご確認ください。
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