2016.8.18|ホップとは?
【ホップ概論 第2回】ホップはなぜビールに使われるようになったのか?
現在ではビールに欠かせないホップ。ですが、いつ頃からホップがビールに使われるようになったのかは定かではありません。
7、8世紀にはヨーロッパでホップ栽培の記録があるようです。といっても、ただ栽培していたというだけのようで、いつからビールに使用したかはわかりません。ホップはビールにしか使われないものたったので、その記録の頃から使っていたのではないかという説や、11、12世紀頃ではないかという説もあります。
では、ホップが使われるまでは何が使われていたのかというと、複数のハーブ類を調合したグルートと呼ばれるものでした。グルートは、アニスやハッカ、クローブ、ヨモギといったものを調合しており、ホップもそのひとつとして使われることもあったようです。そして、徐々にホップがメインとして使われるようになっていきますが、それはホップに次のような効能があることがわかったからです。
- 雑菌の繁殖を防ぐ
- 苦味と香りを加える
- タンパク質を沈殿させて濁りを抑える
- 泡持ちをよくする
ホップが使われるようになってきた当時では、雑菌の繁殖を防ぐということが第一だったと思われます。それに加えて、味わいや見た目にもよい効能があったため、ホップはビールに欠かせないものとなっていきました。
例えばドイツでは、当時のバイエルン公国で1516年にヴィルヘルム4世が「ビール純粋令」を制定。ビールの原料のひとつとして、明確にホップが記載されるようになります。その後、ドイツ全土に広まり、ビールには必ずホップが使われるようになったのです。
もちろん、ドイツ以外でも現在ではほとんどのビールにホップが使われていますが、実はホップを使わないビールもあり、日本でも飲むことができます。
それは、ベルギーのフルート醸造所が造る「フルート」というビール。発音は「フルート」ですが、スペルは「Gruut」。まさにグルートを使って造られたビールで、スタイルはウィット、ブロンド、アンバーなどがあります。
このようにホップを使わないビールもありますが、ほとんどのビールはホップがあってこそ。ホップの効能がビールのクオリティアップにつながっているのです。
では、ホップをビール醸造にどうやって使うのか、についてはまた次回。