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コラム

松江ビアへるんホップ摘みツアー 2023 体験レポート

島根県松江市の松江ビアへるんでは2010年からホップを栽培しており、毎年、夏にホップ摘みツアーを開催しています。今年は7月30日(日)に開催されました。
今年のツアーの様子や、ホップの出来についてレポートします。

圃場に向けて出発!

7月30日(日)は見事に快晴。野外作業だからもう少し雲に頑張って欲しかった、と思いながら松江堀川ビール会館に向かうと、受付に続々と参加者が集まっていました。
暑さ対策として、休憩テントには涼しげなミストシャワーが設置されています。今年初の設置だそうです。今後は必須になることでしょうね。

受付でペットボトルと塩分補給のタブレットを受け取り、貸切の観光バスに乗り込みます。参加者は総勢50名(スタッフのぞく)。小さな子ども連れの家族から、ご年配の夫婦まで、幅広い年齢層の参加者でバスはいっぱいになりました。

参加者が揃ったところで圃場に向けて出発。松江ビアへるんの矢野社長が、慣れた様子でホップについての説明をしてくれます。

  • 1個の毬花(まりはな)に含まれる苦味成分のルプリンは、ジョッキ約5杯分になるとか。(ホップ1個にそんな苦味があるなんて!)
  • ホップはもともと寒冷地の植物なので、自然に育つのは長野県より北。でも試しに島根で育ててみたら意外と育った。(ホップは生命力が強い!)
  • でも、適した地域ではないためか、1株あたりの収穫量は長野の半分以下。(なぜだろう?)
  • 今育てているのはゼウスとチヌーク。特にゼウスは苦味が強く、最近流行りの香りは出ないので海外でもあまり育てられていないが、神の国、島根にはしっかりと根付いている。(神様は苦いものがお好き?)
    ※括弧内は筆者の感想です。

このような興味深い話の間に、バスは宍道湖(しんじこ)沿いの道を走り、ホップ圃場に到着。酒造りの神様を祀った佐香(さか)神社でお参りをして、圃場に向かいます。

圃場

松江ビアへるんのホップ圃場

ホップ摘み体験!

圃場に到着すると、さっそく各自がホップを入れる網の袋を持ち、ビニールの手袋をつけてホップ摘み開始です。

ホップのツルには細かい針のような毛が生えているので、素手で扱うとチクチクし、痒みや痛みがでます。そのため、長袖の作業着が必須です。作業中に袖がまくれてしまうと、ツルが腕に直接当たるので要注意です。

圃場

ゼウスのホップ棚

松江ビアへるんの圃場では、ツルを切らず、毬花を直接手で摘んでいく方式をとっています。

ツルの上の方は下ろせる仕掛けがあり、リフトテーブルのような高いところでの作業は不要です。

引き下げられたホップ棚

引き下げたホップ棚

圃場のホップは約8割がゼウス、2割がチヌーク。筆者はチヌークを収穫しましたが、立派な毬花がたくさんあって、暑さも忘れて収穫しました。グレープフルーツのようないい香りに包まれます。

チヌーク

チヌーク

「小さくても触って弾力があれば収穫して大丈夫」「全部茶色になってカサカサになったものは収穫しない」「部分的にちょっと茶色いところがあるくらいが摘みごろ」と、矢野社長が参加者に説明してくれます。

ゼウスの株は、まだ毛花がたくさんありました。これから50日前後で毬花に成長し、収穫時期を迎えます。1シーズンで3回収穫するとのことでした。

ゼウス

ゼウス

ゼウス(毛花)

ゼウスの毛花

パッキング体験!

約1時間のホップ摘みを終え、再び観光バスで松江堀川ビール会館まで戻ります。最後の大切な作業がパッキングです。ホップの成分は収穫後から劣化していきます。なので、収穫後にできるだけ早くパッキングまで終わらせる必要があります。

ホップを選別して専用のビニール袋に入れます。続いて専用の機器で空気を抜き、窒素送り込み、最後にしっかりと封をします。窒素封入をしないと「汗臭い」匂いが出てしまうそうです。

パッキングされたホップは冷凍保存され、今年のゼウスビターの醸造に使用されます。

ホップ選別

ホップの破片や不要な葉やツルなどを取り除く

パッキング

空気を抜いたあとに窒素を封入

ご褒美のビールで乾杯!

労働の対価として、昼食とビールが振る舞われます。ミストシャワーの備わったテントの下でビールを味わいながら、他の参加者の方とビール話で盛り上がります。初対面でも、すぐに打ち解けて楽しめるのがイベントのいいところです。

矢野社長と乾杯!

矢野社長と乾杯!

今回、初めてホップ摘みツアーに参加されたある方は「東北のホップ圃場の写真を見てたから、ちょっとイメージと違ったなぁ」と。そこまで圃場が大きくなるといいですね!

さらに、醸造所見学ツアーもあります。ビールの作り方や原材料について学ぶことができます。

今年のホップの発育状況は?

今年は、梅雨の大雨と直近の暑さで、残念ながらホップの出来はあまりよくありませんでした。昨年も参加した方は「去年はもっと袋いっぱいに取れたんだけどね」と残念そう。

昨年 2022 年は最高の収穫量だったのに対し、今年はその 2 割弱でした。

・ゼウス  1.13kg 前年比13%(2022年 8.47kg)
・チヌーク 0.76kg 前年比33%(2022年 2.30kg)

昨年は、1時間の収穫時間を終えてもまだ収穫できるくらいの量があったそうですが、今年は時間が余ってしまうほどでした。

ゼウスは毛花がたくさんあったので、今後の収穫で挽回できることを期待しています。

今年のゼウスビターはいつ発売?

毎年恒例、ホップ摘みツアーで収穫したホップを使ったゼウスビターは10月下旬ごろ販売予定です。
公式サイトやfacebookでチェックしましょう!お楽しみに!

松江地ビールビアへるん オンラインショップ

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1975年名古屋生まれ。2003年に就職して上京。
社会人になって趣味で登山を始め、山頂で飲むビールの美味さに感動。
さらに、登山で訪れた街のビアバーでクラフトビールの美味しさに目覚める。
ビールの魅力にはまり、2017年に日本ビール検定2級に合格。

自分の感じたビールの魅力や楽しみ方を、様々な方法で発信していきたいと考えています!

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