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コラム

あのホップはどんな香り?ホップ10品種・銘柄を比較!

様々な味や香りが楽しめるクラフトビール。
近年は柑橘系の香りのアメリカンIPAが人気ですが、その香りに重要な役割を果たすのがホップです。ホップの品種はゆうに100種類を超えている、といわれていますが、大抵のビールは複数のホップを使用しています。これらを組み合わせて狙った香りのビールを造る…ブルワーは香りの魔術師といっても過言ではありません。

ところで、でき上がったビールの香りもそれぞれ個性的ですが、ホップ自身はどのような香りでしょうか?ホップ収穫に参加したことがある方はご存知かも知れませんね。では、何種類のホップの香りを嗅いだことがありますか?専門家でない限り、数種類ではないでしょうか。

今回、10種類のホップを取り寄せて香りを比較してみましたので、その結果を報告します。

ホップの保存について

ホップは農作物なので、農家さんが日々ホップの成熟具合を観察し、旬を見極めて収穫します。収穫時の香りが一番良いのですが、ホップ本体の「毬花」とその中の苦味と香りの成分をたっぷり含んだ「ルプリン」は、時間と共に劣化していきます。そのため、大手ビール会社に納めるホップ農家さんは、通常、収穫後すぐにホップを乾燥・圧縮して、「ペレット」という形状に加工します。これにより長期保管できるようになるのですが、同時に新鮮さ、青々しさがなくなってしまいます。

ペレット

ホップのペレット

収穫したばかりのホップを使ったフレッシュホップビールは、収穫したホップをすぐにビールの製造工程に投入する必要があります。そのため、フレッシュホップビールを楽しむことができる時期や量には限りがありました。

しかし、近年では冷凍技術が発達したことにより、収穫の当日に真空冷凍することで鮮度を保ち、収穫した時の香りが楽しめるようになりました。冷凍後、数年はほとんど違いが分からないそうです。

今回、提供いただいたのは、この真空冷凍されたホップです。

真空冷凍ホップ

真空冷凍されたホップ

香りの特徴

今回用意したのは10品種・銘柄のホップ。
毬花を割って匂いを嗅ぎ、感じた香りが何に近かったか、その所感を紹介します。
なお、筆者は醸造やホップの専門家ではないため一般人の感想であることを予めご了承ください。

IBUKI

さわやか。レモンやオレンジのような柑橘感。

IBUKI

IBUKI

ザーツ(Saaz)

草っぽいが軽い柑橘感と控えめな華やかさがあった。

ザーツ

ザーツ

ガレナ(Galena)

メロンやウリのような香り。全体的には香りは弱めで草っぽさが強いかった。毬花は大きかったがルプリンは少なかった印象。

ガレナ

ガレナ

センテニアル(Centennial)

全体的に草っぽいが、奥深くにグレープフルーツ方面の柑橘感を感じる。香りは弱め。

センテニアル

センテニアル

コロンバス(Columbas)

柑橘感がやや強め。レモンや爽やかなハーブを思わせる。

コロンバス

コロンバス

ブリオン(Bullion)

水っぽくウリを思わせる。香りは弱めで実力が出し切れていない感じ。解凍したばかりだったのが一因かもしれない。

ブリオン

ブリオン

ナゲット(Nugget)

レモン方面の柑橘感のある香りだがそれほど強くない。ルプリンはかなり多かったのだが…

ナゲット

ナゲット

チヌーク(Chinook)

グレープフルーツを思わせる爽やかさ。ややねっとりしたパイニー(松やに)。香りは強めで全体のバランスがよい。

チヌーク

チヌーク

カスケード(Cascade)

やや水っぽくメロンやウリを思わせる。柑橘感は意外と弱め。全体的に小柄だったので個体差だと思われる。

カスケード

カスケード

マグナム(Magnum)

香りはかなり弱く草っぽい。あえていうとスーッとした爽やかな香りも感じた。ナゲットと同じくルプリンは多め。

マグナム

マグナム

気に入ったホップは?

今回のホップではチヌークが一番気に入りました。柑橘系で香りに深みがあり、ずっと嗅いでいたいと思わせる魅力がありました。

2番目はIBUKI。意外としっかりした柑橘感のある香りで、今回の比較ではアメリカンホップに負けていませんでした。(余談ですが、IBUKIは銘柄であり、品種としては共に「信州早生」を親にもつ「キリン2号」と「かいこがね」の2種類です。こちらの記事もあわせてお読みください。)

日本生まれのホップ品種を紹介!香りの特徴や代表的なビールは?

逆に、アメリカンホップの代表格であるカスケード、センテニアル、コロンバスの香りが弱めだったのが意外でした。以前、私が見たものほど大きくなかったので、収穫時期や個体の差かもしれません。

ナゲットやマグナムはあまり香りを感じなかったので、ビタリングホップとして使われているのも納得です。

フレッシュホップの香りを楽しんでみよう!

今回の香りの比較で改めて感じたのは、香りの特徴や強さは個体差やコンディションにかなり依存している、ということ。こんな難しい素材を使って美味しいフレッシュホップビールを生み出すブルワーさんは本当にすごいですね。

生のホップに触れる機会がありましたら、お友達や家族で一緒にその香りを楽しみながら、どんな香りを感じたか感想を交換するのも楽しいと思います。
なお、ビールの香りを決めるのはホップだけでなく、麦芽のロースト具合や酵母の活動によって発生する香りもあります。ホップの香りと、でき上がったビールの香りは必ずしも同じではないのでご注意ください。

フレッシュホップビールをいただくときには、その香りの元のホップに思いを馳せてみましょう!

 

※今回のホップは京都与謝野ホップ生産者組合より提供いただきました。

1975年名古屋生まれ。2003年に就職して上京。
社会人になって趣味で登山を始め、山頂で飲むビールの美味さに感動。
さらに、登山で訪れた街のビアバーでクラフトビールの美味しさに目覚める。
ビールの魅力にはまり、2017年に日本ビール検定2級に合格。

自分の感じたビールの魅力や楽しみ方を、様々な方法で発信していきたいと考えています!

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