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ホップ生産者

畑からビールグラスへ、ホップがつなぐ特別な一杯

台風の影響が心配された8月2日、横浜市港北区の古川原農園では、2025年で9回目となるホップの収穫が行われました。本来なら一般の参加者も加わり賑わうはずでしたが、あいにくの天候でツアーは中止に。その代わりに集まったのは、横浜ビールの醸造スタッフ、ビールを提供する飲食店のスタッフ、そして毎年参加しているビール好きのボランティアたち、総勢16名でした。

毎年参加している収穫ボランティアチーム

毎年参加している収穫ボランティアチームメンバー

畑に広がるホップの香り、みんなでつむぐ共同作業

農園に足を踏み入れると、目の前には生き生きとしたホップのつるが広がっていました。緑のカーテンに覆われた畑で、私たちは早速ホップを摘み始めます。一粒手に取って揉んでみると、爽やかな柑橘やハーブの香りがふわりと立ち上がりました。

生き生きとしたカスケードが実っている古川原農園のホップ畑

2025年は台風の影響で一般参加者は来られませんでしたが、毎年参加しているボランティアメンバーを中心に、連携のとれたチームで収穫を進めました。9回目ということもあり、総勢16名がスムーズに作業を進め、時間通りに14kgのホップを収穫。太陽が照りつける中、みんなで汗を流しながらの共同作業は、とても特別な時間でした。

猛暑を乗り越えたホップ、古川原さんの情熱

2025年の夏は猛暑と乾燥が続き、ホップの生育には厳しい環境でした。しかし、古川原農園の古川原琢さんは、この状況を乗り越えるため、こまめな水やりを徹底しました。

古川原農園の古川原琢さん

古川原農園の古川原琢さん

「ホップ一株につき、25Lの水をやるんです」と古川原さんは教えてくれました。10L程度ではほとんど効果がなく、20Lから30Lの水をやることで初めてホップはよく育つそうです。この丁寧な手入れの結果、今年は過去3年の中でも最高の品質で収穫を迎えることができました。ホップ農家さんの情熱が、この豊かな香りを生み出したのです。

汗をかいた体に染み渡る、農場で飲むゴーゼ

収穫の合間には、スプリングバレーブルワリー東京限定のビール「特醸~夏の白麹和え~」を差し入れでいただきました。このビールは、ドイツの伝統的なビアスタイル「ゴーゼ」を日本の素材でアレンジしたもの。

ライム果汁と白麹の爽やかな酸味、塩麹由来の塩味に、日本産ホップ「IBUKI」と「MURAKAMI SEVEN」が織りなすフルーティーな香りが心地よく調和していました。さらに、ほのかな山椒の風味がアクセントとなり、畑で流した汗をかいた体にぴったり!

伝統的なゴーゼは、塩分を含むためか、かつて鉱山労働者にも親しまれていたと言われています。そのように考えると、日本の暑い農作業にゴーゼが合うのも納得です。畑で飲むビールは格別でしたが、この「特醸」は特に印象的な一杯となりました。

酵母由来のスパイシーでフルーティーな香りが特徴のゴーぜ

畑で流した汗をかいた体にぴったりのゴーぜ

鮮度が命!収穫から3時間でビール釜へ

古川原農園のホップを使ったビールの最大のこだわりは、収穫から3時間以内に醸造を始めるというスピード感です。この鮮度へのこだわりが、ホップの持つアロマを最大限に引き出します。

収穫を終えた私たちは、時間との戦いでした。農園から横浜ビールまで車で移動し、摘み取った14kgのホップを加工します。ホップはそのままビール釜に入れるのではなく、根元にある黄色い粒状のルプリンを揉んでほぐすひと手間が必要です。この作業に時間を要するのですが、古川原さんが考案したミンサー(肉をミンチにする調理器具)を使うことで効率が上がり、今年は1時間半で全てのホップを処理できました。

収穫後にホップの実を細かくほぐす作業

収穫後にホップの実を細かくほぐす作業

18時には参加者が再び醸造所に集合。熱気と麦汁の香りが充満する中、収穫したてのフレッシュホップをビール釜に投入しました。この瞬間、私たちの汗と笑顔が詰まった特別な一杯が誕生したのです。

高温の中ホップを投入する作業を行うブルワーの加藤さん

高温の中ホップを投入する作業を行うブルワーの加藤和樹さん

9月8日完成!横浜産フレッシュホップエール

この日収穫したカスケードという品種のホップは、通常の投入方法とは異なる工程で使用しました。

煮沸を終えた麦汁を一度80度まで冷却し、再びワールプールへ送り込んだ後にフレッシュホップを加えています。

高温状態での投入を避けることで、ホップに含まれる揮発性成分の過度な飛散を抑え、より繊細な香りを残す狙いがあります。今回の仕込みでは、フレッシュホップの特性を生かした、穏やかでバランスの良いアロマが期待できます。

2025年のレシピを考案した横浜ビールブルワーの加藤さん

2025年のレシピを考案した横浜ビールブルワーの加藤和樹さん

みんなの汗と笑顔が詰まった一杯、「横浜港北フレッシュホップエール」は9月8日に完成します。ペールエールスタイルで、アルコール度数は4.5%。収穫したてのカスケードに加えて、ザーツ、アマリロ、シトラといったホップも使用されています。

この特別なビールは、横浜ビール本店レストラン「UMAYA」で楽しめます。収穫のストーリーが詰まった特別な味わいを、ぜひ体験してみてください。

来年は、ホップ畑で会いましょう!

2025年は収穫体験に参加できなかった皆さん、来年こそはぜひ一緒にホップを摘みませんか?

自分の手でホップを摘み、その香りに驚き、仲間と汗を流し、そして最後に自分が関わったビールを飲む。そんな感動的な体験があなたを待っています。

まずは、9月8日に完成する一杯を飲んで、ホップのストーリーを味わってみてください。来年、ホップ畑でお会いできるのを楽しみにしています!

毎年楽しみにしているフレッシュホップビール

毎年楽しみにしているフレッシュホップビール

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ビアジャーナリスト

CBA認定ビアジャッジ・ビアテイスター
J.S.A.認定ワインエキスパート
「ホップでビールを選ぶ時代に!」をテーマに、ホップの個性や魅力を伝える活動をしています。クラフトビールの香りに魅せられてから、全国各地のホップ畑を巡るようになり、ときには収穫のお手伝いをさせていただくことも。
中でもお気に入りは、爽やかな柑橘の香りが特徴の「シトラ」ホップです。
まだまだ学びの途中ではありますが、ビールをもっと身近に、もっと楽しく感じていただけるよう、日々勉強しながら情報を発信しています♪
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