日本生まれのホップ品種を紹介!香りの特徴や代表的なビールは?
ホップは、ビールに個性的な味や香りを与える重要な原材料です。クラフトビールの知名度が上がるに従い、さまざまなホップ品種の名前を見かけることが増えてきました。人気のアメリカンIPAでよく使われる「カスケード」や「チヌーク」、大手ビールの宣伝で見かけるチェコの「ザーツ」など海外の品種が有名ですが、日本生まれのホップがあることはご存知でしょうか?今回は日本生まれのホップ品種についてご紹介します。
Contents
ホップの役割と使い方
ホップの主な役割はビールに苦味や香りを与えることです。それぞれの特徴は、ビールの製造工程のどのタイミングでホップを投入するのかによっても変わるため、同じ品種を使っていても、最終的な味や香りはビールの銘柄によっても異なります。
苦味づけに使うホップは「ビタリングホップ」といい、麦汁を加熱する煮沸工程で投入します。また、香りづけに使うホップは「アロマホップ」といい、煮沸の後半から発酵・貯蔵の工程で投入します。
ビール醸造でのホップの使い方などについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
日本生まれホップの紹介
代表的な日本生まれのホップ品種を選んでみました。その香りと代表的なビールを紹介します。
信州早生
信州早生とは、サッポロビールの前身である大日本麦酒の育種・研究で1910年に生まれたホップです。長野県の気候に適し、同県での栽培を開始したため、名前に「信州」とついていますが、現在は日本中で栽培されています。
香りの特徴
レモンのようなフレッシュな香り。
代表的なビール
信州早生の使用をはっきりと謳っているビールは少ないですが、「サッポロ セブンプレミアム ホップ畑から」のシリーズでは、岩手県のホップ農家さんの生産した信州早生を使用(50%以上)したビールが販売されていました。
IBUKI
IBUKIとは、キリンビールが育種した信州早生の系統の「キリン2号」と、同じく信州早生の突然変異種である「かいこがね」の2種類のホップを合わせたホップの商標名です。キリンビールの契約農家で生産されているホップですが、近年、キリンビール以外のブルワリーでも使用が広がっています。
香りの特徴
柑橘フルーツに近い華やかでフローラルなアロマ。
代表的なビール
毎年11月ごろにキリンビールから発売される「一番搾り とれたてホップ生ビール」を中心に、スプリングバレーブルワリーなどのブルワリーでIBUKIを使用した限定ビールがリリースされています。
ソラチエース
ソラチエースとは、1984年にサッポロビールが開発したホップの品種です。個性的な香りのため当時は採用されませんでしたが、2000年代半ばにアメリカでその魅力が見出され、ブルワーの支持を受けて人気になりました。
ソラチエースについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
香りの特徴
ヒノキやレモングラス、ライムのような香り。
代表的なビール
サッポロビールのSORACHI 1984は、個性的なホップの香りや味を感じやすいゴールデンエールで、年間を通して入手可能です。また、ブルックリンブルワリーのソラチエースはボトル・缶で販売されています。
MURAKAMI SEVEN
MURAKAMI SEVENとは、キリンビールの技術者である村上敦司さんが育種したホップです。採算が合わないことを理由に、キリンビールでは2000年に日本産ホップの品種改良の打切りが決定されたのですが、その時にこっそり岩手ホップ管理センターに持ち込んだ20種類のホップのひとつ。それから20年近く経ち、その香りが国内だけでなく海外のブルワーからも注目されるようになったホップです。
香りの特徴
イチジクやマスカットのような香り。
代表的なビール
MURAKAMI SEVENを使ったビールは、主にスプリングバレーブルワリーから販売されています。2020年には、MURAKAMI SEVEN IPAがキリン オンラインショップ DRINXでも販売されていました。現在は、異なるビアスタイルの限定ビールとしてスプリングバレーブルワリーのレストランで提供されています。
- スプリングバレーブルワリー MURAKAMI SEVEN IPA(2019年)
- スプリングバレープルワリー JAPAN HOP ~遠野セゾン~(2022年)
ホップの違いを楽しもう!
100年以上前から栽培されているホップや、海外で認められUターンしてきたホップなど、その背景を知るとさらにビールを楽しく飲めますね。
通年で楽しめるビールは少ないので、見かけたらぜひ手に取り、他のビールと飲み比べながら香りの違いを感じてみてください。
新しいビアスタイルを切り開いてくれる、日本のホップたちが生まれることを楽しみにしましょう!
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