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コラム

4年ぶりの遠野ホップ収穫祭!同時に60周年と100周年を迎えたのは?

4年ぶりとなった2023年の遠野ホップ収穫祭は8月19日(土)、20日(日)に開催されました。天候に恵まれた初日の様子をレポートします。

遠野ホップ収穫祭とは

都心から東北新幹線で北上して新花巻駅で下車。JR釜石線に乗り換えて、2両編成の列車に揺られて1時間。遠野市は、岩手県内陸部にある山に囲まれた自然豊かな人口約2.5万人の街です。

一般の方には「遠野物語」で民話のふるさとして知られていますが、ビール好きには日本有数のホップ生産地として知られています。寒冷でかつ盆地特有の気温差がある気候がホップの生産に適しているためだとか。

そんな遠野市では、2015年からホップの収穫を祝う「遠野ホップ収穫祭」を8月末に開催。日本中のビール好きが集まり、美味しいビールと食事、ライブなどのイベントで盛り上がります。

新型コロナウィルス流行の影響で間が空きましたが、今年は4年ぶりということで、ビール好きには待ちに待った開催となりました。

まずは最初に一杯

8/19(土)の朝。天気予報によると午前は曇り、午後から小降りの雨。しかし、当日は雲の間から強い太陽の日差しが降り注ぐ絶好のビール日和になりました。

オープン前、待ちきれずに様子を見にいくと、会場の「蔵の道ひろば」には大きなテントとテーブルがずらり。スタッフの方がテキパキと設営しています。

会場は11時にゆるりとオープンし、遠野醸造、遠野麦酒ZUMONA、スプリングバレー、キリンビールが出店しているドリンク販売ブースには、次々とビールを求める人たちの行列ができ始めます。

最初の1杯目には、スプリングバレーのMURAKAMI SEVEN IPAをいただきました。続けて、遠野麦酒ZUMONAと遠野醸造のビールもいただいて大満足です。

遠野ホップ収穫祭ビール

左上)スプリングバレー「MURAKAMI SEVEN IPA」 右上)MURAKAMI SEVEN(ホップ) 左下)遠野醸造「ESB」  右下)遠野麦酒ZUMONA「遠野のホップ農家から」

レッツ・ホッピング・カンパイ!

オープニングは「遠野仙人太鼓の会」による迫力のある和太鼓で始まりました。

続けてホップバトンパス式が始まります。
ホップバトンパス式とは、ホップ生産者と収穫を手伝った高校生から、ビールの造り手に今年のホップを手渡す大切な儀式です。

造り手として、遠野でビールを醸造する遠野麦酒ZUMONA 坪井さんと遠野醸造 袴田さん、そしてキリンビール仙台工場からも工場長、醸造長が参加されました。その日の朝に収穫されたホップを受け取り、美味しいビールを造ること約束してくれました。

ホップバトン式

ホップバトンパス式と乾杯の様子。掛け声はレッツ・ホッピング・カンパイ!

キリンビール仙台工場は1923年に製造を開始。そう。今年、操業100周年の記念の年になりました!

遠野市のホップはキリンビールの契約栽培。毎年恒例の「一番搾り とれたてホップ生ビール」に使用したり、凍結粉砕した新鮮なホップを国内の醸造所に提供しています。

これから全国でフレッシュホップビールが楽しめる季節がやってきますが、そのホップは遠野のホップかも知れませんね。

今年の「一番搾り とれたてホップ生ビール」の発売は11月7日。お楽しみに!

圧巻のホップ畑体験ツアー

遠野ホップ収穫祭では、有名アーティストによるライブやドイツ民謡楽団による演奏、ホップの魅力セミナーなど様々なイベントがありますが、その中でもビール好きは外せないイベントが「ホップ畑体験ツアー」。枠に限りがあるので、事前予約か並んで当日券を勝ち取る必要がありますが、ぜひ参加して欲しいツアーです。

バスで10分ほどでホップ畑に到着。遠野で生産されているホップは「IBUKI」と「MURAKAMI SEVEN」というブランド・品種になります。

「IBUKI」については下記のページをご覧ください。
日本産ホップIBUKIとは?特徴とIBUKIを使ったビールを紹介

今回のホップ畑で生産されていたのは「IBUKI」。たくさんのホップに囲まれた空間がとにかく圧巻でした。

ホップ畑

圧巻のホップ畑。ホップのツルは5.5メートルになるように高さを調整。

ホップはアサ科のツル性多年草。同じ株で10から20年育ち、毎年ツルを伸ばして毱花(まりはな)をつけます。

毎年春ごろ、一株一株、根を切り(株ごしらえ)、育ち始めたツルを4、5本選定してロープに伝わせるなど、手間がかかり、とても体力がいる作業です。

ホップ畑のIBUKI

立派に実ったホップの毱花(まりはな)

遠野でホップの生産が始まったのは1963年。そう、今年で60周年を迎えます!

しかし現在、生産面積は最盛期の6分の1以上も減少し、また生産者の高齢化が深刻です。遠野市では総務省の地域おこし協力隊制度を活用し、次世代ホップ農家を募集しています。興味のある方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?

また、ホップの乾燥設備の老朽化が問題でしたが、ふるさと納税を財源として建て直しの計画が進み始めたとか。皆さんも、ふるさと納税で「ビールの里プロジェクト」を指定して支援しましょう!

素敵なグッズや体験コーナーも

ビールイベントといえば、限定グッズも魅力ですよね。Tシャツ、手拭い、グラスなど様々な素敵なグッズが販売されていました。特に、タオルはオープンして1時間で完売。レアグッズとなりました。

また、中央大学丸山ゼミ学生による間伐材を使ったコースター作りのコーナーも。童心に帰って絵の具で色を塗り、カラフルなコースターを作りました。

遠野の木材で作られたカラフルなコースター

遠野の木材で作られたコースター。木片のパーツに絵の具で色付けして完成!

来年もまた遠野のホップ畑で会いしましょう!

このように1日だけでも様々な楽しみ方ができる遠野ホップ収穫祭。早くも来年が楽しみです。

来年、遠野のホップ畑で皆さんとお会いできることを楽しみにしています!

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1975年名古屋生まれ。2003年に就職して上京。
社会人になって趣味で登山を始め、山頂で飲むビールの美味さに感動。
さらに、登山で訪れた街のビアバーでクラフトビールの美味しさに目覚める。
ビールの魅力にはまり、2017年に日本ビール検定2級に合格。

自分の感じたビールの魅力や楽しみ方を、様々な方法で発信していきたいと考えています!

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